内容説明
秀頼死して1年半。千姫は、美男の本多忠刻に再嫁する。「さても女とは薄情な生き物よ」大坂城と運命をともにしなかったのは、右大臣家秀頼と淀殿の助命嘆願のためではなかったのか―。「許せない!」坂崎出羽守の乱心が始まる。
感想・レビュー
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blacktea
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傑作選集・上に比べると、長篠の戦や大阪夏の陣などの異聞といった趣の作品が多いが、そういう歴史小説に傾いたものほどハマれない。正直「坂崎乱心」が表題作になるほどのものとは思えなかった。あとがきに「私の作品は、空想だけのものと、わずかな記録に触発されたものに大別されるようです」とあり、史実の縛りの少ない自由度の高い題材のほうが筆がのる作家なのだろう。よかったのは「仲秋十五日」「血染川」。「下野さまの母」は、今更妻を巻き込んで「こらえてくれ」とか言う修理が身勝手だと思いつつ、その理不尽さにこそ惹かれる不思議。2012/07/31