目次
第1章 今日よりは顧みなくて(戦争と『万葉集』;海行かば水浸く屍)
第2章 稲舂けば皹る吾が手を(防人とは;大伴家持と防人の歌;東歌の世界―防人のふるさと)
第3章 家風は日に日に吹けど(父母よ、さらば;妻子とのわかれ;昔年の防人の歌から;難波にて)
第4章 葦辺ゆく翅の雁を(母を殺そうとした防人の歌;防人の病と死)
第5章 み空ゆく雲も使と(防人の心になって;家持、やがて都へ)
感想・レビュー
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itokake
7
万葉集の防人歌を中心に、国の都合で引き裂かれる人々の心を扱った名著。防人は664年~783年、東国(静岡、長野、関東あたり)から九州防衛のために徴兵された農民。徴兵は突然のことが多く、任期は3年。防人になると、家族と当分会えないが、別れは慌ただしい。作者も先の戦争で夫を徴兵。別離の悲しみは、1200年前の防人たちと同じ。それゆえ、防人歌と「昭和万葉集」の徴兵による別れを嘆く歌には、時代を超えた共通点がある。大伴家持は防人歌に感動し、自らも歌を作ったが、しょせん彼はいいとこのボンで、庶民目線にはなれない。2021/09/20
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