内容説明
心やさしい芸術よ、ありがとう!若いモーツァルトが与える永遠への予感、セザンヌの到達した色彩の魔術、大岡昇平が背負い続けた苦い真実―現代日本語の最高の書き手による芸術批評。
目次
1 読むことと、見ること(大岡昇平の文体について;『ヘンリー・ジェイムズ作品集』に寄せて ほか)
2 物には決ったよさはなく…(涼しさの音楽;ありがとう、音楽よ ほか)
3 日本と日本人について(「松」事件で感じたこと;「昭和」とは何だろう ほか)
4 水戸芸術館(水戸室内管弦楽団のこと;小沢征爾の還暦を祝って ほか)
5 音楽家たち(火の性と水の性;音楽家の生きる道 ほか)
6 カイエ・ド・クリティク(逝ける刻のために;友情の手紙 ほか)
感想・レビュー
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tohoho
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音楽のみでなく、文学・絵画等の芸術批評から、日本と日本人について等のエッセーが集められている。「形があるわけではない匂いと音楽。音楽と匂いは、ふたつとも、思い出の中でこそ、真の花を咲かせる植物みたいなもの。」といった詩的な話もあれば、「平穏無事によく治まっている文明国日本は、平穏な社会の一人一人の成員をみていると、まるで、砂の塊を手ですくいあげた時のように、指の間からこぼれていってしまって、何ものこらない。砂の粒一つ一つの間をつなぐものが一つもないからである。」という、辛辣なものまで幅広い。 2012/10/28
charlie_
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物には決まったよさはなく、/人にはそれぞれ好き嫌い、お前の舞う姿がよいとのことだが、/わしは好き、お前のじっとしているとき。(白楽天/万足卓訳)2012/06/19