内容説明
朝廷の権力争いの渦中で、家刀自(女あるじ)として大伴家を支えた旅人の異母妹。万葉集の編集に情熱を燃やした美貌の歌姫の波乱の物語。書き下ろし歴史長編小説。
感想・レビュー
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ソババッケ
11
家持の叔母・坂上郎女の生涯。若かりし頃の恋多かりし女として、家持の歌の師匠として、大豪族大伴氏の中核である大納言家の家刀自として。そして作者の試みは万葉集の実質的な編集者としての姿である。万葉集の女性の歌で最も多い90首近くから、それをヒントに読み解いていったのであろうが。歌は本人が思ったままに詠むとは限らない、人の心情をくみ取ったものや、たわむれを躱すためのもの、相手を魔物から救うためのもの。ちょっとこの世界は難しい。もう少しボリュームがあってもいい本。家持の実母や子にもいろいろ説がありそうだ。★3.32018/01/26
ひろ
0
万葉集の歌人。大伴安麻呂の娘。大伴家持の叔母。穂積皇子妃であり、皇子の死後、藤原麻呂と恋仲に。政敵として巻き込まれぬよう、大伴家の存続を第一に考える。乱世における波乱万丈の女の一生。だからこそ歌も響く。2024/02/05