感想・レビュー
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夜間飛行
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元資料は1804年刊。冷ややかな画面から怒号や馬の嘶きまで聞こえるようだ。飢えと恐怖から暴動が起こり、国王軍は指揮系統の脆さから崩壊。肖像を燃やしたり、首を槍に刺して掲げる行為は祭のシャヴァリ(嫌われ者への嘲笑)を思わせる。一方、ジャコバン派による自由の祭典や「貴族の木」を燃やすシーン、また公開処刑も一種の祭として強烈な印象を与える。だが、ヴァンデや南仏の反乱、テルミドール反動を経て祭は一変した。イタリア戦線やアフリカからの戦利品に群がる民衆はもはや革命を夢みていない。ボナパルトこそ新しい幻想の担い手だ。2019/12/01