感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
パラ野
16
戦争に突入しようとする日本と中国を旅した「私」。オックスフォードで一緒だった日本人女性ヨシロ、中国人男性リ=テーの愛憎に触れている「私」が、瞑想的な旅を続けていると、いつの間にか彼らのスパイ行為に巻き込まれていく。仏陀とバッカスの宇宙について、タオイズムについて、瞑想を巡らせているうちに、いきなり日本人のクゲさんやリ=テーが戦争の匂いを運んでくる。侵略する側と侵略される側の温度差などは、さすがの描写。大国の白人に対し、自分はギリシャ人だと距離を保つ部分もあり。原文はフランス語で書かれたとのこと。2014/09/23
hiroizm
7
作者の分身と思しき流浪のギリシャ人文学者が日本と中国を旅し、仏教、道教などの東洋思想、社会文化や人々との出会いなどを通して、自身の美学、放浪芸術家としての生き方、精神、思考を見つめ直す詩的哲学的紀行小説。1935年ごろが舞台のため、日本を頂点にした汎アジア思想を持ち「中国は私たち日本のものよ」とうそぶく妖しい魅力の日本人女性や、主人公の情熱的な求愛に心揺れ動きつつも家族ととも抗日活動に身を投じる中国人女性なども登場し、日中戦争初期当時の不穏な空気も伝わる秀逸作で読書没頭。掘り出し物感あり。2025/08/15
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