内容説明
二十一世紀最初の年二〇〇一年は、九月十一日に発生した同時テロという未曽有の大事件で、世界が暗雲に包まれた。それは、「戦争の世紀」という不名誉な冠詞のつく二十世紀を悔悟し、希望を見いだそうとする文明社会への、野蛮な挑戦でもあった。当然ながら、テロリズムは根絶しなくてはならない。しかし、現代文明が抱える課題にも、今一度、目を向ける必要も忘れてはならない。読売新聞はこうした視点から、二〇〇二年の年頭一面企画『文明を問う』を連載した。世界と日本の各分野の識者インタビューを通じ、宗教対立、グローバリズム、市場経済、差別と貧困、科学技術の未来と人類、地球環境など、山積する二十一世紀の課題への処方箋を探った。また本書の発行にあたって、読売新聞に掲載した関連特集記事も収録している。
目次
一国主義の伝統貫く米国(アーサー・シュレジンガー)
世界主義構築の好機(アンソニー・ギデンズ)
貧富の差、是正まだ途上(ナディン・ゴーディマ)
二十一世紀は「太陽の世紀」(レスター・ブラウン)
最新技術、制御不能になる恐れ(ビル・ジョイ)
敵意の根源、結局は「相違」(リチャード・ドーキンス)
共通の文明社会に敬意表そう(V・S・ナイポール)
テロ防止、全宗教の力で(フランシス・アリンゼ)
それでも友愛を信じる(ムスティスラフ・ロストロポービッチ)
「テロと宗教」短絡は禁物(バツラフ・ハベル)〔ほか〕