出版社内容情報
源平合戦を題材に、後世の日本文化に多大な影響を与えた『平家物語』。合戦を語ることがなぜ人々の共感を呼ぶ物語となったのか。以仁王の橋合戦から頼朝・義仲の戦い、義経の一ノ谷・屋島・壇ノ浦合戦まで、多数の異本に目を配りつつ、合戦の歴史的経過をたどり、さまざまな性格を持つ物語を考察。物語に織り込まれた人々の欲求を読み解く。
内容説明
源平合戦を描いた文学『平家物語』は、なぜ人々の共感を呼ぶ物語となったのか。多数の異本に目を配りつつ合戦の歴史的経過をたどり、さまざまな性格を持つ物語を考察。物語に織り込まれた人々の欲求を読み解く。
目次
『平家物語』の合戦をどう読むか―プロローグ
橋合戦 以仁王の乱と異能の悪僧達
頼朝の東国合戦 頼朝の敗北・復活と三浦一族の奮戦
義仲の戦い 木曽冠者の進撃と朝日将軍の最期
一ノ谷合戦 源平最大の決戦
屋島合戦 義経の奇襲と「八島語り」
壇ノ浦合戦 平家の滅亡
『平家物語』は合戦をどう語ったか―エピローグ
著者等紹介
佐伯真一[サエキシンイチ]
1953年、千葉県に生まれる。現在、青山学院大学名誉教授、博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
sayan
27
合戦が共感を呼ぶ文学へと昇華される背景に平知盛の「見るべき程の事は見つ」は示唆的。そこに平知盛とマッカーサーの共通点=執着の放棄という政治力学が見える。平家物語で旧来の「現実の共同体」=貴族社会/貴族化した武士と共に解体、知盛は旧体制の正当性を自ら完結させ退場を物理的に引き受け逆説的に勝者の新秩序への政治的展望をみる。同時に新秩序は、Bアンダーソン的「想像の共同体」を旧体制から継承し、神器なきナラティブによる支配を永続させる。知盛の完結は新秩序を不可逆にする最強の呪縛だ。権力の永生という深淵がここにある。2026/01/06
かふ
19
合戦の読みどころガイド。以仁王の乱の「橋合戦」の兵の数とかあり得ない数を出し、悪僧の活躍も超人的になったのはフィクションということだった。悪僧の悪は、力強いの意味で悪人ということではないという。寺の傭兵のような僧で町田康の小説とか、そのスタイルだった。影響されたのか。それらのように後世の作家は更に物語を膨らませてゆく。実際に貴族の手記は合戦のことはわからないので、のちの作家はその時代の風潮に合うように脚色してゆくという。それは『平家物語』を同時代的に読む(批評する)ということだ。2025/11/06
ワタシ空想生命体
4
P260"「子午線の祀り」は、木下順二の想像力が、石母田正の『平家物語』に対する鋭い読みに呼応して生み出された作品といえようが、潮流説などの歴史学の謬説も、この作品を生んだ重要な要素であることは認めておかねばなるまい。つまり、歴史学の誤りをきっかけに、すぐれた文学が生まれることもあるわけである。合戦から文学が生まれてゆく道すじは、ほんとうに多様であるといわねばなるまい。"2025/03/26
アカショウビン
2
平家物語に対する違和感がかなり解決した。1人の作者に生み出されたのではなく、多様な立場の資料を継ぎ合わせ、部分によって性格が異なる。合戦の語りは、武士達の功績の証であり、死者の鎮魂もあり、その先には芸能がある。(那須与一や宇治川の底を1時間歩く話、壇ノ浦の遠矢の争いなど)本書で1番驚いたのは、「正々堂々と戦う武士道」は近代の観念ということ。個々の武士が手柄を立てるためには、敵も味方も主君も騙す。佐々木高綱も人を騙すのが上手く、その兄盛綱は案内の漁師を功名のために殺し、義経など暗いからと民家に放火するのだ。2025/11/24
aeg55
2
平家物語は長大で“物語り”化された歴史小説は今更読む気はしないので、“合戦”に特化した本は自分のニーズには合っていた。900年前の事柄なので検証できる材料は少ないが複数の「平家物語」などから推定してゆく過程が興味深い。 平家物語の主題ではないが、三種の神器のうち”草薙の剣“が壇ノ浦で失われた事は知っていたが、その後“「昼の御座の御剣」をもって宝剣と扱うことにした” というのを知った 更に三種の神器のひとつの”鏡“も平安中期焼けてしまいとっくの昔に実態を失っていた、というのも知らなかった2025/06/27
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