出版社内容情報
古代最大の内乱「壬申の乱」に勝利、皇位を簒奪し、クーデタ政権をうちたてた天武天皇。「大君は神にしませば」と神格化され、専制君主としての実像が見えにくい。功臣たちを厚遇しつつも、現実を見据え、権力行使に不可欠の忠良な官僚を創出しようとする中、下級官人群の統制に苦悩する専制君主の側面を再発見。覇者天武の知られざる人間像に迫る。
内容説明
壬申の乱に勝利、皇位を簒奪し、クーデタ政権をうちたてた天武天皇。勝利に貢献した功臣たちを厚遇しつつ忠良な下級官人群を創出しようとする中、官僚統制に苦悩する専制君主の側面を再発見。人間天武の実像に迫る。
目次
覇者の王権―プロローグ
覇者天武の即位
律令官人群の創出
暴悪の官人たち
死にたくなかった専制君主
天武の心残り―エピローグ
著者等紹介
虎尾達哉[トラオタツヤ]
1955年、青森県に生まれる。現在、鹿児島大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
MUNEKAZ
16
天武天皇による官僚群の創出とその統制に注目した一冊。壬申の乱に勝利し、近江朝廷派を粛清すると同時に功臣を昇進。まさに専制君主といった強面ぶりだが、彼が自らの手足となる存在として創出した下級官人たちの統制は、一筋縄でいくものではなく…。著者の前著『古代日本の官僚』でも描かれた怠惰な官僚たちの仕事ぶりは、天武の理想とは程遠いもの。死期が迫った際の執拗な加持祈祷は未完の律令国家への思いの裏返しであり、また病弱な草壁皇子への継承を不安視するのは、クーデターで政権を奪取した故の因果か。人間・天武天皇を感じるところ。2026/01/30
アメヲトコ
8
2024年9月刊。壬申の乱に勝利した専制君主というイメージの強い天武天皇ですが、それは本当に実像なのかと問うのが本書。王権簒奪者としての後ろめたさ、吹けど踊らぬ官僚たち、後継体制への不安など、人間らしい天武の苦悩に、少し親近感が湧きました。2024/09/29
源義
2
壬申の乱の後、中国的専制君主を目指した天武は永世顕彰すると約束した壬申の功臣といえども無条件に昇進させることなく所謂皇親政治を貫いた。その際、彼の手足となるべき下級官人を大舎人として育成していくはずであったが、結果は質の悪い官人を粗製乱造したにすぎず、そうした官人の扱いに「苦悩」したという。 ユニークな着眼点。官人・役人といえば感情もなく天皇の命令を実践するものと単純に思っていたので、人の育成の難しさ、道徳・倫理の重要性を痛感したりもした。最晩年の延命祈願のフルコースも興味深かった。2024/09/25
Go Extreme
2
覇者天武の即位 乱直後の行賞: 論功行賞 官位の加増 中国的専制君主への志向: 唐の贈官にならう 天智の政治的枠組みを継承 功臣の永世顕彰: 壬申功封 律令国家と壬申の乱 律令官人群の創出 現実主義者としての天武 新官僚機構の構築: 即位時の加増 大舎人制の導入 下級官人群の形成: 下級官人の昇進促進 要件の明示 暴悪の官人たち: 天武の官僚機構 忠勤しない官僚たち 罪を犯す官僚たち 天武の強制手段 死にたくなかった専制君主: 天武の血族重用 死期迫る 天武は死にたくなかった 天武の心残り2024/09/16
転天堂
1
武力で皇位を簒奪し中央集権独裁体制を築いた天武天皇だが、下級官人のサボタージュには悩まされていたという。平安時代の官僚の体たらくは別の本でも読んでいたが、律令制黎明期の天武朝でもそんな状況だったとは。実は日本に唐から輸入した政治体制が定着しなかったのは、外来の制度に対する土着的な抵抗が根強かったのか、あるいは天武そのものが完全な外来王だったのかもしれない。2025/02/13
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