出版社内容情報
夫婦中心の新しい家族像が誕生した近代日本で、メディアや学校教育が女性の理想的な「職業」として提示した〈主婦〉。彼女たちはどんなスキルや規範を求められたのか。家庭を運営し家族のケアも担う神聖な仕事と賞賛されながら無償の家事労働を強いられてきた女性の歴史をたどり、100年前に国内外で物議を醸した「主婦の給料」論争を掘り起こす。
【目次】
はじめに 主婦もモダンガール
主婦という仕事の不思議
主婦とはだれのことか
主婦の起源
職業婦人としての主婦
第一章ようこそ! 主婦の世界へ―新しい職業としての主婦
主婦へのいざない
国家/社会による「主婦」への〈リクルート〉
良妻賢母主義を補完する女性向けマスメディア
晴れの結婚式から蜜月へ
誰もがめざせるあこがれの主婦生活
サラリーマン家庭から農家・商家まで
第二章主婦はスペシャリストかつジェネラリスト
主婦の一日、主婦の一週間
読むことで獲得できる専門知識と技能
多種多様な技能の習熟とアップデート
家政・家事の商品化と学問化
家事労働および主婦の地位のモダナイズ
子育てという人材育成
家庭という「事業体」の総務担当
財布のひもをにぎる―財政担当という重い仕事
第三章主婦になるための「就活」
二つのルート―見合いか恋愛か
このましい雇用主としての「理想の良人」
優良な雇用主に選ばれるために
失業しないための規範と実践
職業婦人か結婚か
主婦と職業婦人の間の移動
第四章「主婦の給料」の提唱
婦人雑誌におけるフェミニズム的議論の勃興―『青鞜』から『婦人公論』へ
モダンボーイ・清沢洌による「妻君業」
資本主義の世の中で「間尺に合わない商売」
女性車掌を叱る老婦人のエピソード
べーベルの結婚制度批判―女性は無賃で働く家庭内「奴隷」なのか
女性の経済的独立をいかに可能にするか
第五章海の向こうの〈女と男の討論会〉
ロンドンの討論会―女性の働きをいかに評価するか
ニューヨークでの討論会―主婦への給料の可否をめぐって
ヘイスからの「主婦の給料」の反対論
主婦の給料の計算方法
スティーブンによる「家庭は合資株式会社」論
話題を呼ぶ五番街での食事つき討論会
妻君業は立派な職業
第六章「主婦の給料」賛成か反対か
「『妻君の俸給』問題是非」についての識者五五人の回答
主婦の地位は低すぎる―妻は「みじめ」
妻に給料を払える夫は少ない―妻だけでなく夫もまた「みじめ」
家事労働の経済的評価は可能
主婦の経済保障にむけた制度設計
家事労働の社会化
夫婦は雇用関係ではない
資本主義が社会を覆うことへの反発
第七章「無償であるから尊い/尊いから無償」言説
「主婦」は職業であって職業ではない
相馬黒光と山田わか
愛の労働―良人への愛と子どもへの愛
それは本能だ!
主婦労働は尊いとの熱弁
家族にとっての避難所
家庭の「私」領域化と神聖化
無償であるから尊い/尊いから無償



