出版社内容情報
奈良時代の都・平城京は、政治の舞台の平城宮を中心に一〇数万もの人々が暮らす場であった。有能な役人を養成する大学や後宮に勤める女性官人の姿や、役人の勤務評価や休暇の実態などはいかなるものだったのか。税金や物資の流通、治安警備、軍隊や騎馬、酒造り、祭祀、疫病流行などのトピックから都に暮らした人々の日常をいきいきと再現する。
内容説明
一〇数万に及ぶ人びとが暮らした平城京。役人を養成する大学や後宮に勤める女性官人、勤務評価や休暇の実態はいかなるものだったのか。税金や流通、治安、祭祀、疫病流行などから、都の日常をいきいきと再現する。
目次
第1章 平城京の役人たちと政治(官人と大学;宮廷と女性官人 ほか)
第2章 平城京をめぐる経済と流通(税の実態;平城宮跡・藤原宮跡と贄の木簡 ほか)
第3章 平城京をめぐる軍事と警護(平城宮・京と警護体制;古代国家と軍団 ほか)
第4章 平城京をめぐる文化と祭祀(平城宮造酒司と古代の酒;筆と墨 ほか)
著者等紹介
小笠原好彦[オガサワラヨシヒコ]
1941年青森市に生まれる。現在、滋賀大学名誉教授、博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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紫草
11
はしがきに「興味ある部分からご覧いただき、」とあるように、平城京の役人たちの暮らしを、について色んな項目毎にまとめてあります。(論文集とかでなく)一般向けに書かれた歴史の本はどうしても政治史が多いけど、そういう本ではわからない普通の暮らしが垣間見えておもしろい。私が1番おもしろかったのは第二章の「平城京をめぐる経済と流通」興福寺西金堂などのお寺を造る時の木材をどこからいくらで買ったとか、運賃がいくらとか。なんか昔の王様だから有無を言わさず召し上げてるイメージだったけど、ちゃんと買ってたんだ。運賃も払って。2024/02/21
お抹茶
3
平城京の官人の暮らし,物資の流通などさまざまな内容を記す。地方出身の官人のための帰郷用の休暇や忌引休暇もあった。造東大寺司は東西市から常に必要とする諸物資を調達し,例えば調庸を貢進するために設けた相模国の調邸では,相模国から輸送した調庸を一時的に収納し,市で交易によって不足分を補い,また余剰品などを売却したと推測される。平城京の諸門の中にはその門の通過を認められた官人の名前が木簡に記されていたが,五位以上の高官はどの門も自由に出入りできた。『正倉院文書』をはじめ古文書や木簡解読の成果が記されている。2024/05/19
Abercrombie
3
取っつき易そうなタイトルに反して、中身はかなり専門的。それらを素っ気ないほど簡略な文章で著している(硯の種類とか、薬の成分や効能等を、これ以上細かく説明されたら発狂するけど)。作者の勧めに従い、興味ある部分は熟読、他は流し読みに徹する。授刀衛、五条の勅、贄の貢納など初耳の用語多し。@壬申の乱、藤原広嗣の乱、藤原仲麻呂の乱など、戦争の記述になると作者の筆はやたら走り、且つ分かりやすい。奈良時代においても、戦争の明暗を分けるのは、騎馬隊の帰趨であったというのが意外だった。2024/03/13
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