出版社内容情報
邪馬台国の女王卑弥呼と後継の台与。なぜこの時期に女王が集中したか。考古学・女性史などを駆使し、女性の役割と地位を解明。
内容説明
邪馬台国の女王卑弥呼と後継の台与。なぜこの時期に女王が集中したのか。考古学・女性史・文献史・人類学を駆使し、弥生~古墳時代の女性の役割と地位を解明。卑弥呼が擁立された背景と要因に迫った名著を新装復刊。
目次
序章 本書の目的と女王・女性天皇にかかわるこれまでの研究
1章 邪馬台国の時代と場所を考える(古墳の定義と年代論;邪馬台国所在地論と私の考え)
2章 王位を継承する男と女(被葬者のプロファイリング;卑弥呼登場前史―弥生時代の首長層と男女;卑弥呼以後の社会と女性―古墳時代前期の首長層と男女)
3章 卑弥呼と女性首長の権能(性的役割分担の研究;ヒメヒコ制批判)
4章 卑弥呼はなぜ独身だったのか(女王・女性天皇の独身性;女性首長と妊娠痕;女王・女性天皇と卑弥呼の中継ぎ的性格)
終章 時代のうねりの中で―女性の地位と卑弥呼(神仙思想と卑弥呼;弥生時代中期から古墳時代前期の軍事的緊張と女王・女性首長;女性首長、その後;卑弥呼擁立の背景と条件)
著者等紹介
清家章[セイケアキラ]
1967年、大阪府生まれ。1993年、大阪大学大学院文学研究科前期課程修了。豊中市教育委員会、大阪大学文学部助手、高知大学人文学部助教授、同教授を経て、岡山大学大学院社会文化科学研究科教授、博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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坂津
3
考古学的見地から、弥生時代~古墳時代の倭の女王・女性首長の在り方について論じた書籍。人口に膾炙している「ヒメヒコ制」は考古学的裏付けに乏しく、女性首長は男性とほぼ同等の権能を有していたが、軍事権においては男性に優位性があったため、軍事的緊張が比較的緩和する弥生時代後期~古墳時代前期では卑弥呼・台与といった女王が台頭し、それ以外の時期では父系化が進むという論旨は、明快で納得できる。古墳時代後期~奈良時代の女性天皇は、「中継ぎ」でありながら「本格的」で、両者の概念は両立するとした記述も説得力があった。2024/05/05
ウォーカージョン
2
軍事的緊張のない弥生後期後半から古墳時代前期には、女性首長が珍しくない存在だった。軍事権は男性が持つが、それ以外は、祭祀も含めて男性と女性は対等だった。また、双系的に継承するので、女性首長は結婚出産が可能だった。しかし、王位は父系が原則である。そのため、卑弥呼と台与は中継ぎであったと考えられる。考古学的成果を踏まえ、理論的で納得できる。ただ、双系原理が一般的な中で、なぜ王位だけが父系なのか。国内が混乱する中でなぜ台与が擁立されたのか、そこを知りたい。2020/06/09
Oltmk
1
現在の考古学・女性史・文献史などを駆使して、卑弥呼や台与といった女王が誕生した歴史的背景などを解き明かそうしており女性が軍事権は持てなくても男性首長と対等になっているなどを説いていてる。古代史におけるジェンダー史は現代の皇位継承問題を絡めようとしている研究者もおり、その視点についてはあくまで現代とリンクさせず弥生時代後半から古代時代前期までの女性家長・首長の地位などを歴史学の視点で留めておく視点でまとめているのも良かったとは思う。古代史のジェンダー史などを知りたかったらオススメできる。2021/12/05
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