出版社内容情報
「大嘗祭」の本義とは。「平成大嘗祭論争」の中心学説『大嘗の祭り』を再録し、その後の研究成果を集成。新たな大嘗祭論を提示する。
内容説明
天皇一代一度の皇位継承儀礼「大嘗祭」とはいかなるものか。「平成大嘗祭論争」の中心学説『大嘗の祭り』を再録、その後の研究成果を集成。天皇祭祀等と同様、自然災害への対応を組み込むという新たな大嘗祭論を提示。
目次
第1部 大嘗の祭り(皇位継承儀礼・一代一度の大嘗祭;大嘗祭の本義をめぐる研究史;大嘗・新嘗の祖型―倭の屯田を訪ねて;“真床覆衾”論と寝座の意味;神今食と新嘗祭・大嘗祭―天皇祭祀と国制機構;文化史学からみた大嘗祭;大嘗宮について;神宮式年遷宮と大嘗祭)
第2部 古代祭祀と大嘗祭(古代神祇祭祀の体系と大嘗祭;天武朝前期における天皇新嘗;大嘗祭祭祀論の真義―遙拝・庭上・供膳祭祀;稲と粟の祭り―大嘗祭と新嘗;神座(寝座)秘儀説の現在)
大嘗祭研究のこれから
著者等紹介
岡田莊司[オカダショウジ]
1948年、神奈川県に生まれる。1973年、國學院大學大学院文学研究科修士課程修了。現在、同大学神道文化学部教授、博士(歴史学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
K.H.
8
前半は30年前に書かれたものの再録だった。批判が向けられているのは折口信夫以来の“真床追衾”説。大嘗祭の悠紀・主基両殿に設られる寝座は天孫降臨の真床追衾であり、践祚した天皇がそれにくるまることで神としての力を得る、というものだが、著者は寝座にそうした秘儀的な意味はなく、遠来の神をもてなすためのものに過ぎないとする。折口民俗学の本拠國學院内部からの異論ということで、平成の大嘗論争というのを巻き起こしたらしい。そこを離れると、興味深かったのは米と並んで贄とされる粟。これについてはもっと研究があってもよさそう。2023/02/15
Book Lover Mr.Garakuta
8
難しかった。古代史の基本からおさえないとこの手の本は理解できないと思う。2019/07/15
もるーのれ
2
大嘗祭の本質を、徹底した史料の読み込みを通して解き明かしており、説得力のある論考だった。律令制での祭祀の枠組みの中での大嘗祭の位置づけもよく分かる。大嘗祭の創出された天武・持統朝といえば、古代律令国家の諸々の制度が整備されていく時代なので、改めて結構な画期なんだなと感じる。2019/12/21
Oltmk
1
根拠に乏しく、空想的な発想が元になっている折口信夫の学説を「幻想」として徹底的に批判し、大嘗祭の本質を素朴な農耕儀礼の一つとして取り扱う日本古代史研究の専門書・この本を読むと、いかに資料を取り扱う学者といえど元の発想が根拠の乏しい空想的な学説を信じるという事が理解できる書籍となっており、本書の空想を徹底的に批判するスタンスから学者は自らが信じたい空想的な「幻想」と闘い続ける人生なのではないかと思わされる。ただ、史料から古代の祭祀を読み解くスタンスであるため初心者向けではない。2019/05/20