出版社内容情報
明治のはじめ、荷車の技術的変革は、物流を急速に発達させ、東京の経済発展に大きく貢献した。また、人力輸送の補助力として不可欠だった「立ちん坊」とはどのような人たちだったのか。車輌の製造や管理、道路の整備や日清戦争下の輸送、立ちん坊の生活や賃金など、さまざまな視点から明治社会を掘り起こし、現代にも通じる物流問題の実態に迫る。
内容説明
明治のはじめ、荷車の技術的変革は東京の経済発展に大きく貢献した。人力輸送の補助力として不可欠な「立ちん坊」とはどのような人たちだったのか。運輸や労働の視点から明治社会を掘り起こし、物流問題の実態に迫る。
目次
序章 荷車曳きのかけ声
第1章 近代への胎動
第2章 「くるま」規則の近代化―制度改革
第3章 明治の「くるま」メカ―技術改革
第4章 都心商業地と小運送
第5章 路傍の「立ちん坊」
第6章 軍隊と荷車
第7章 東京近郊の荷車と立ちん坊
終章 近代都市と物流―経済圏の拡大と動力
著者等紹介
武田尚子[タケダナオコ]
お茶の水女子大学文教育学部卒業。2000年、東京都立大学大学院社会科学研究科博士課程修了、博士(社会学)。現在、早稲田大学人間科学学術院教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ちはなゆ
2
荷車が近代東京の物流に大きな役割を果たしたことを解明したこれまでにない視角の本。荷車の歴史や変化などは考えたこともなかったが、明治前期に車輪に輪金をつけたり、車輪の心棒が金属製になるなどの画期を見いだし、機能強化により輸送力の増大がなされたとの指摘は大変興味深く読んだ。また、荷車を押す立ちん坊の実態に着目した研究はほとんどないのでは。明治時代の流通経済や肉体労働者の実像を見つめ直す意義ある本と思う。東京以外の都市ではどうだったのかも気になる。また、こうした視角の研究が進むと明治時代像が豊かになると感じた。2020/05/19
かとたか
1
これは名著。社会学者による学術書でもあるが、娯楽に読む近代史の一側面とも読める。都市と村落を媒介する荷車と、その荷車を引く重労働に、社会階層をみる。現代にも通ずる物流の社会史。2024/11/27
さくら
0
戦後しばらく荷車を使って輸送していたのか。かなり驚いた。立ちん坊が荷車の重さに苦しみ、ほとんどがその日暮らしの貧しい生活を送っていた現状を鑑み、鉄道輸送への切り替えを考えた、という事実に納得がいく。物流の発展こそ、国家の発展だということだろう。2023/06/16
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