出版社内容情報
日本民俗学の創始者である柳田国男は、列島内で暮らす人々の歴史を、生活事象とそれを表す言葉によって明らかにしようとした。だが、その学問は論文のかたちで示されなかったため、思索の過程や主張がわかりづらい。柳田の学問の根底にあった危機意識や使命感を明らかにし、さらには柳田の問題点を検討。今後の民俗学のすすむべき道を探る書。
内容説明
柳田国男は何を憂い、何を考えて日本民俗学を創出したのか。列島内で暮らす人々の歴史を、生活事象とそれを表す言葉によって解き明かそうとした学問の根本に立ち返り、その問題点を検討。今後のすすむべき道を探る。
目次
1 柳田国男論と柳田国男研究(柳田国男研究の展開と課題;日本の民俗学と常民)
2 柳田国男の研究構想(松岡国男の研究ノート;世界民俗学構想と『遠野物語』;書斎にこめた夢;「山村調査」にみる研究の深化)
3 柳田国男の研究成果と問題点(民俗学の方法論―『民間伝承論』と『郷土生活の研究法』;『北小浦民俗誌』の意義と評価;沖縄と日本―『海上の道』の意義;子供観と子供の民俗学;種明かししない柳田国男)
4 日本民俗学の特色と今後の方向
著者等紹介
福田アジオ[フクタアジオ]
1941年、三重県に生まれる。現在、国立歴史民俗博物館名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Hiroki Nishizumi
3
柳田国男論であり柳田国男研究。民俗学を深く学んでいる人には参考になりそうだが、自分はあまり馴染めなかった。2023/11/26
杣人
1
柳田国男の研究は現代の水準からみれば問題が多く、近年提出された柳田批判に乗っかりこれらを否定することは容易い。しかし、柳田の鋭い問題意識は今でも色褪せていない。新たな方法論の構築と問題意識の継承、現代の民俗学はどちらも必要だろう。2023/11/24
志村真幸
1
さまざまな媒体に発表された文章を一冊にまとめたもの。 柳田国男によって始められ、柳田の示したルートに沿って発展してきた日本民俗学について、批判を加えつつ検討し、これから進むべき道を提案した内容だ。 タイトルは、柳田の独創だと考えられてきたアイデアや構図、さらには民俗学という学問そのものに、実は先行するものがあり、しかし、柳田が種明かししていないため、これまでよく分かっていなかったという意味合い。 柳田の有効性と限界が明快になっており、これからの民俗学を考えるうえで、有用な指針となる一冊であった。2023/11/09
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