内容説明
織田信長が上杉謙信に贈ったという『洛中洛外図屏風』。そこには上京・下京から鴨川を渡り北野まで、約四五〇年前の京都が描きこまれている。上御霊社、祇園祭、五条橋、北野社など、時空を超えた京都への旅が楽しめる。
目次
『上杉本洛中洛外図屏風』を歩く―プロローグ
1 戦国時代の洛中を歩く(惣構に囲まれた上京を歩く;惣構に囲まれた下京を歩く)
2 戦国時代の洛外を歩く(鴨川を渡る;北野あたりをめぐる)
天正三年の旅人―エピローグ
著者等紹介
河内将芳[カワウチマサヨシ]
1963年大阪府大阪市生まれ。1987年京都府立大学文学部卒業。1999年京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。京都大学博士(人間・環境学)。甲南中学校高校教諭、京都造形芸術大学芸術学部准教授を経て、奈良大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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- 評価
京都と医療と人権の本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
六点
11
国宝「上杉家本洛中洛外図屏風」に描かれた風景を元に、京都を巡る、とは言え、当時の京都は、福井県とも接攘する巨大都市とは比較にならぬほど狭いのであるが。実際に比較すると、残ったもの、変わり果てたもの、将に「絵に描いた」もの。京都の歴史に圧倒されるばかりである。本書で取り上げられたものは、詞書が残ったものが中心であるのだが、それでも、実際に歩くと驚くべきものに出会えるであろうと、予感させる。終章で取り上げられた『中書家久公御上洛日記』での旅程が、やはり一廉の武将と言うものは、体力が違うという他ない。2019/12/04
田中峰和
10
ガイドブックを片手に京都の街を歩くのだが、何と古地図ではなく上杉本洛中洛外屏風図のコピーを見ながら街歩きをするところが斬新。古地図の解説も要所要所に紹介するのだが、屏風図の墨書き部分を写真で紹介しながら巡るので、いにしえの街と現代の街並みを比較できて、歴史好きにとっては至福の時を過ごせる。寺社仏閣だけでなく、当時の風俗や祭りも絵に書き込まれているのも楽しい。祇園祭の山鉾だけでなく、盂蘭盆の風流踊りまで街中に登場する絵地図の役割を果たしている。秀吉の天下統一によって屏風図の寺院も大きく変動しているようだ。2019/11/29
chang_ume
9
絵画資料を通じた中世京都の立体視。『上杉本洛中洛外図屏風』をはじめ、『寛永後萬治前洛中絵図』も大きく登場します。中世・戦国期の「洛中」「洛外」が、いかなる空間認知によって表象されたか。このあたり、資料特性を踏まえた読解の醍醐味ですね。また参考文献リストも充実で、さながら中世京都の歴史地理の入門書ともなるような。平易かつ専門的。かなりお得な内容ではないかと。2019/09/13
うしうし
4
大変たいへん面白かった。戦国時代の京都を『上杉本洛中洛外図』を手掛かりにして歩いてみるという試み。上杉本の復習になるばかりか、現在の京都に戦国時代の面影が予想以上に残っていることに驚く。また、『洛中絵図』という江戸時代前期に作成された地図が参考資料として掲載されている。本文中には筆者の他、瀬田勝哉氏や高橋康夫氏の研究が紹介され、現地に即した解説がなされる。図版がカラーだとなお良いと想ったが、そうすると値段が高くなると思われるので、贅沢に過ぎるだろう。県図書館本を借り読みしたが、持っておきたい本である。2016/01/30
J.A.
2
京都へ遊び行ったが、この本のことを思い出した。繁華街となった四条河原町の大きい交差点には大鳥居があってとか、今じゃあ歴史がありげな感じの三条橋はなくてとか、結構楽しい。また京都に行きたい。2014/02/21