内容説明
古来、人々は死者をどのように弔ってきたのか。死体が放置された平安京、棺桶が山積みされた江戸の寺院墓地など、各時代の様相は現代の常識と異なっていた。日本人の他界観と、「死」と向き合ってきた葬制の歴史を探る。
目次
葬送と墓制の歴史をどうとらえるか
1 原始社会の葬送と墓制(縄文人と死、そして墓;弥生時代の葬送と墓;古墳時代)
2 古代の葬送と墓制(飛鳥・奈良時代から平安時代前期;古代社会と墓の変遷)
3 中世の葬送と墓制(中世的葬送の胎動;仏教的葬儀の展開;中世墓の諸相)
4 近世の葬送と墓制(近世民衆葬送史を面白くするには;華美化する葬送儀礼;人が葬られるとき;墓石と供養からみえる世界)
5 近現代の葬送と墓制(葬儀を取り巻く環境の変化;明治期の葬儀とその肥大化;告別式の誕生;墓地法制の成立と民俗;祭壇中心の葬儀へ;葬祭業の産業化;祖先祭祀の変容と墓;葬儀の小規模化)
著者等紹介
勝田至[カツダイタル]
1957年新潟県に生まれる。1988年京都大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。現在、芦屋大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ひよピパパ
12
日本の葬送の歴史を古代から現代まで時代ごとに要領よくまとめた書。写真・図録が随所に収録されていて読んでいて面白かった。惜しむらくは近世部分。他時代の葬送について網羅的に紹介されているのに、なぜかこの時代だけ他章と性格を異にして新視点の提示という形式が取られている。江戸幕府の統治下で各宗派が葬儀をどのようにとり行っていたのか、宗派同士で互いに影響し合うことはなかったかなど、知りたかったのに残念だ。。。2022/03/06
keint
10
タイトル通り古代から現代までの葬式や墓地に関する歴史を解説している。死体や墓地や供養塔などの物理的なもの(特に古墳時代)に関しての解説と葬儀の儀礼に関する解説が主なものを占めている。現代の葬式の問題がすでに近世から始まっていたというのは興味深い指摘であった。しかし、人々の死者への態度などの点からの解説は薄かったため、あまり自分の求めているテーマにたいする事実や解説はなかった。2020/02/06
もるーのれ
6
日本の原始時代から近代までの葬制の移り変わりが、各時代毎に分かりやすく解説されている。特に中世・近世の状況が興味深い。現代みるような墓地の景観が近世でも後半にならないと出現しないのには驚いた。2020/08/13
momen
3
古墳時代から現代までの葬儀や埋葬の歴史を解説した論文集のような本。~古墳時代はかなり専門的な解説で、全国の有名史跡を地図つきで分析している。資料がそもそも少ないため仕方がないが一般人の葬式や墓についての情報が少ないのは残念。江戸時代は資料から見る実際の葬儀の多様性を分析 。パレードみたいに豪華な葬式が行われ葬儀ビジネスも普及する一方貧民の埋葬はかなり雑に行われており、死者に対する思想も近代化していった。維新後~現代の葬儀社による葬儀形態のベースは江戸時代に出来上がっていたのだと実感させられる。2023/10/28
よしださいめい
3
縄文時代から明治・現代までの、日本における葬制の歴史。 参考文献も豊富で、非常に読みやすく、時代時代で、日本人の死生観、どのように死者を送っていったのか、興味深かった。 当然だけれど、現代の葬式の常識?もごく最近になってできたものだ。2021/11/20