内容説明
古代の女性たちは、政治的・経済的に大きな力を持っていた。進展する研究成果をふまえ描かれた豊かな古代女性の姿は、“妹の力”幻想を超え、現代社会を問い直す可能性を示す。わかりやすく語る、格好の古代女性史入門。
目次
1 女性史を学ぶ 方法と実践(古代の村の女、都へ行った女;日本古代の戸籍と家族 ほか)
2 “妹の力”と女性史(女性史と民俗学;歴史学における“妹の力” ほか)
3 史料を読む(性愛=結婚だった時代(『古事記』八千矛神の求婚)
「貧窮問答歌」の家族像(『万葉集』巻五‐八九二番) ほか)
4 女性史研究と現代(古代女性史研究の歩み;帰るべき家と家族 ほか)
いま見えてきたこと―女性史研究とジェンダー
著者等紹介
義江明子[ヨシエアキコ]
1948年大阪に生まれる。1971年東京教育大学文学部史学科卒業。1979年東京都立大学大学院人文科学研究科修士課程修了。現在、帝京大学文学部教授、文学博士
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感想・レビュー
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陽香
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20041020
Eri
0
夫婦別姓や女性の社会進出に反対する理由として、伝統を壊してはいけないからという人がいる。しかし日本の歴史から見ればそんなことは伝統でもなんでもない。近代に作り上げられた幻想だ。勝者の男性が残した都合の良い歴史ではなく、女性の歴史をずっと知りたいと思っていた。女性史という分野があることもこの本を読んで初めて知った。民俗学で実際に行われたという、現代の性別や家に背負わされた役割が史学に投影され、本来の女性の姿をねじ曲げてしまうということにもとても同意。良い本に出会った。