内容説明
大坂夏の陣の後、大坂から京都に移住し、以降、京都を拠点に作画活動をした京狩野家。秀吉から家康へと政権が移る激動の時代、京狩野家は山楽・山雪・永納を中心に、京都画壇内に確固たる地位を占めていく。庇護者九条幸家の人物像や三人との親密な関係を明らかにし、京狩野家の個性豊かな作品と生き残り戦略の実態を浮き彫りにする注目の一冊。
目次
プロローグ 「注文主」と「絵師」の関係を越えて
第1部 九条幸家という「注文主」(九条幸家の誕生まで―幸家につらなる人びと;九条幸家―摂関家当主、その生涯)
第2部 「絵師」京狩野家の三代(狩野山楽―九条幸家との接点;狩野山雪―山楽から継承したもの;狩野永納―京狩野家の生き残り戦略)
エピローグ 九条幸家の聖恩と京狩野家の存続
著者等紹介
五十嵐公一[イガラシコウイチ]
1964年、愛知県に生まれる。2007年、東京大学大学院人文社会系研究科基礎文化研究専攻博士課程修了、博士(文学)。現在、兵庫県立歴史博物館学芸員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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メルセ・ひすい
3
論文「狩野山楽と山雪の助命」より…大坂夏の陣の後、大坂から京都に移住し、以降、京都を拠点に作画活動をした京狩野家は、秀吉から家康へと政権が移る激動の時代、京都画壇内に確固たる地位を占めていった。京狩野家の作品と生き残り戦略の実態を描く。庇護者関白九条幸家の人物像や三人との親密な関係を明らかにし、同家の個性豊かな作品と生き残り戦略の実態を浮き彫りにする。2012/12/26
陽香
2
201212102017/06/13
トーマス
2
学者さんが書いた本だなということで、詳細に書くのはいいんだけど、逆にわかりにくい(初心者にとっては)。まさか九条幸家からみで30%以上を費やすと思わなかった。私にはまだ早かった。2014/09/13
Wataru Hoshii
1
五十嵐公一「京狩野三代 生き残りの物語」。山楽・山雪・永納と続く京狩野家と、九条幸家という公家との深い関わりを明らかにした研究書。前著「京都近世画壇のネットワーク」で展開された主題を、個別事例で丁寧に跡づけている。残党狩りや投獄という苦難に直面した京狩野家だからこそ、このケーススタディは面白い。京博での展覧会を見たので、とても面白く読めた。ところで、本書の前半はひたすら九条幸家の生涯とその複雑な親戚・姻戚関係の叙述で、後半理解に必要な知識だとはわかりつつもつらかった。研究書だから、まあ仕方ないけど。2013/06/14