内容説明
多くの民衆に菩薩と崇められた行基。その活動は「百姓を妖惑す」るとして国家から弾圧を受けるが、彼の信望は厚く大仏造営の勧進に起用され、ついに大僧正に任ぜられる。行基を通して、国家仏教と信者集団を活写する。
目次
1 行基の魅力
2 行基の生涯
3 行基と律令国家
4 行基集団と女性たち
5 行基と知識結
6 行基と霊異神験
7 語り伝えられる行基
著者等紹介
速水侑[ハヤミタスク]
1936年北海道に生まれる。1959年北海道大学文学部史学科卒業。1964年北海道大学大学院博士課程単位取得。現在、東海大学教授
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感想・レビュー
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moonanddai
7
前半は山林修行と霊異神験、呪術による病治療などを行うカリスマの人、そして後半は社会事業と勧農事業のリーダーという、中国仏教でも重視された事をわが国で逸早く行った、最先端の人ということのようです。で、その説法はというと、著述や記録がないためはっきりはしません。法相を学んだとされますが、基本的には因果応報と三宝、五戒、十善を勧めるという、わかりやすいものだったのが広く民衆に受けたのではないでしょうか。思うに、思索は官僧に任せ、あくまで「行動」の人と理解しました。大仏供養の講師を断ったのかもガラじゃないから…?2021/01/20