内容説明
異数の幸運によって帝位につき、天衣無縫の活動をしながら、一転して絶海の孤島に生を閉じた後鳥羽院の生涯を、史実に基づき描き出す。和歌などの才能にあふれた多芸多能な側面にもふれ、生き生きとした人間像に迫る。
目次
起の巻(棺を蓋いて事定まらず;運命の四の宮;幼帝と権臣;十代の太上天皇)
承の巻(和歌への出発;『新古今集』成る;秀歌と秘曲;狂連歌と院近臣;鞠を蹴り武技を練り;習礼と歌論)
転の巻(北条殿か北条丸か;はこやの山の影;治天の君の苦悩;内裏再建の強行と抵抗;敗者の運命)
結の巻(『遠島御百首』の世界;人それぞれの戦後歌道・仏道三昧の晩年;氏王)
著者等紹介
目崎徳衛[メザキトクエ]
大正10年新潟県生まれ。昭和20年東京大学文学部国史学科卒業。文部省教科書調査官、聖心女子大学教授等を歴任、文学博士。平成12年没
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感想・レビュー
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maekoo
5
後鳥羽院研究の第一人者目崎徳衛教授が成稿寸前でお亡くなりになりそれを古代中世知識階層の思想と宗教が専門の小原仁同大学名誉教授が親族や関係者と整理し完成させた目崎教授の名著! 院や承久の乱を扱った書籍は数あれど古文書や資料に基き院を取り巻く多様で多彩な人間模様とドラマを歴史事実と推論で展開しています。 院の波乱万丈の生涯と多芸多能で人間らしい姿を浮き彫りにしています。 正にドラマを観る様にダイナミックでドラマチックな歴史を垣間見れる良書です。 ある程度この時代と前後の時代を知っていると更に面白く読めます。2021/08/22