内容説明
古墳の造営が終末を迎えようとする七世紀、近畿地方を中心に、横口式石槨と呼ばれる特異な埋葬施設をもつ古墳が出現した。最高支配者層の古墳にも採用される極めて謎の多い横口式石槨の成立を、大化薄葬令をはじめ、渡来氏族や朝鮮半島の墓制など東アジア世界との関わりを交えて探究するとともに、河内飛鳥が古代国家形成に果たした役割を考える。
目次
基調報告 終末期古墳と渡来文化(終末期古墳と横口式石槨;河内の横口式石槨;大和の横口式石槨;横口式石槨の変遷;東アジアの中の横口式石槨;河内地方の渡来系氏族)
調査報告 羽曳野市鉢伏山西峰古墳
シンポジウム 河内飛鳥と終末期古墳
感想・レビュー
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chang_ume
6
1998年刊(元のシンポジウムは94年)。終末期古墳の横口式石槨に関する論集。多型式・多系統という「非常に複雑な様相」を特徴としながら、分布が大和・河内にほぼ限定される墓制について、定義・分類・編年が各者各様に論じられる。一方で横口式石槨の成立にあたっては河内飛鳥(河内南部)という限定地域を想定でき、かつ背景におそらくは渡来系集団の動向も見て取れる。これがいかにして大王墓級に採用されていったのか。古代国家形成に直接関わる問題だろう。議論の見取り図として、後半収録のシンポジウムから読むことをお勧めします。2022/08/02
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