内容説明
平安四百年の舞台に登場しては去っていった者たちの栄華と凋落の軌跡を語る珠玉集。あわせて平安時代の必須史料である日記の概説と『御堂関白記』『渡宋記』「院宮文書」読解の実例を示し、時代史入門の手引きとする。
目次
1 平安の宮廷(皇統の歴史―その正統と異変;『誡太子書』の皇統観 ほか)
2 平安の貴族(学者と公達―菅原道真と藤原時平;頼長と信西―保元の乱で激突した師弟 ほか)
3 古記録と古文書(古記録について;古代の記録 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
邑尾端子
2
平安期の宮廷政治に関する橋本氏の論考・講義記録等をまとめた一冊。平安末期に貴族政治が衰退した理由については「武士の台頭」とだけ大雑把に語られることも多い。しかし実際は後三条の親政期、白河・鳥羽の院政期を経た政治機構の変化やその裏で繰り広げられた貴族間の内紛や政争など、あらゆる要素が複合的に絡んでいる。本書はこの平安末期の様相について様々な視点から分析を試みており勉強になる。また、この時期の重要人物として美福門院藤原得子の存在に大い注目しているのが珍しく、一人の女性が政治上に与え得た影響力の一例として面白い2013/09/23