内容説明
古来、人びとは生活のなかでさまざまな機会を通して神仏の霊威にふれ、遊行の聖たちは、社会の外から不思議な力をもって訪れてきた。遊行漂泊の宗教とは、定住する生活様式の彼岸に隔絶した宗教ではなく、いわば定住生活者たちの鏡として、多様な価値観の源泉となった。本書は、遊行聖の宗教を通し、新たな日本宗教論を構想しようとする。
目次
序章 日本宗教の遊行性と聖
第1部 巡礼論(近代における旅と宗教;講と霊場参詣;巡礼行者の宗教的達成;弘法大師の母―あこや御前の伝承と四行霊場縁起;四国遍路の行者とその宗教活動―宥弁真念『四国〓礼功徳記』を中心に)
第2部 民俗宗教論(室町期における宗教の風流化と寺社参詣;山の法師と里の勧進;冥界からの救済;たたり・怨霊・異人)
補論 民間信仰論から民俗宗教論へ―仏教民俗論の前提として