出版社内容情報
近世の村と町は、いかに形成され、変化したのか。都市の開発、労働力の奪い合い、在方町の行財政、多様な生業に支えられた人びとの生活、江戸の町を舞台とした諸身分の交錯など、地域社会と権力のあり方を解き明かす。
内容説明
近世の村と町は、いかに形成され、変化したのか。都市の開発、労働力の奪い合い、在方町の行財政、多様な生業に支えられた人びとの生活、江戸の町を舞台とした諸身分の交錯など、地域社会と権力のあり方を解き明かす。
目次
プロローグ 地域からみる現代社会
第1章 城廻り村と家中名請地
第2章 古村と新田村の労働調達競争
第3章 近世前期の開発と土豪・百姓・隷属農民
第4章 「勧農」と「取締」の幕末社会
第5章 諸身分の交点としての江戸“久保町”
第6章 在方町の社会構造と行財政システム
第7章 災害と都市社会
著者等紹介
岩淵令治[イワブチレイジ]
1966年、東京都に生まれる。現在、学習院女子大学国際文化交流学部教授、博士(文学)
志村洋[シムラヒロシ]
1964年、東京都に生まれる。現在、関西学院大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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MUNEKAZ
10
新田開発で生まれた新興の村と近隣の村との労働力確保を巡る争いを論じた萬代論文と、地域の顔役として誠実に務めを果たそうとする銅山師を描いた岩城論文が印象に残る。前者は現代にも通じるような開発ブームの負の側面を、後者は近世社会の屋台骨を支えていた地域のリーダーたちを浮かび上がらせている。また安政年間の江戸を襲った災害を紹介した渡辺氏の論も興味深い。江戸の町は、地震・台風・大火・コレラの複合災害からの復興途上で開国を迎えた。幕末の混乱を見るときに、こうした舞台設定も考慮に入れるべきだと思う。2025/09/03
アメヲトコ
8
2023年12月刊。4巻からは各論編で、この巻は前半が村落、後半が都市を対象とした地域を扱います。もっとも両者は単純に分かれるわけではなく、城下町の武士が周辺農村の耕地を所有する例(志村論文)や、公式には村落でありつつ内部に非公式な町(ちょう)を抱える在方町(酒井論文)など、社会の交錯が興味深いです。萬代論文で描かれる古村と新田村との労働力の奪い合いなどは、人手不足の現在を見るかのよう。2024/08/08
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- 和書
- 地域経済の進化と多様性