出版社内容情報
同族から分流した山内・扇谷両上杉氏は、上杉禅秀の乱から約100年にわたり、時に協力し、時に敵対し並立した。長享の乱で両氏の争いが終結するまでの複雑で入り組んだ経過を丁寧に解き明かし、戦いの意義に迫る。
内容説明
同族から分流した山内・扇谷両上杉氏は、上杉禅秀の乱から約一〇〇年にわたり、時に協力し、時に敵対し並立した。長享の乱で両氏の争いが終結するまでの複雑で入り組んだ経過を丁寧に解き明かし、戦いの意義に迫る。
目次
プロローグ 関東における上杉氏の展開
1 扇谷上杉氏の伸長と鎌倉府再興(扇谷上杉氏の勢力拡大;永享の乱と扇谷上杉氏;結城合戦と鎌倉府体制への回帰;対立する公方成氏と両上杉氏)
2 享徳の乱と上杉氏(享徳の乱勃発;戦線の膠着;武蔵・相模への扇谷上杉氏の拡大;上杉方の反攻)
3 長尾景春の乱と都鄙和睦(長尾景春の乱;太田道潅の活躍;都鄙和睦;享徳の乱と景春の乱がもたらしたもの)
4 両上杉氏の争い(関東三戦;伊勢宗瑞の登場と定正の死;鎌倉府体制再興を目指す;両上杉の争いの終結)
エピローグ 両上杉氏の抗争と北条氏登場
著者等紹介
木下聡[キノシタサトシ]
1976年、岐阜県に生まれる。2007年、東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。現在、東洋大学文学部准教授、博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
六点
119
此の巻では山内上杉氏・扇谷上杉氏を中心に関東公方→古河公方との相克を描いている。公方と管領の対立は、この本の前巻に詳しい。と言うか、通読して初めて「享徳の乱」の発生が理解できた。扇谷上杉氏は家宰である太田道灌を殺害、克服していたという視点は重大だと思った。が、伊勢宗瑞と小田原北条氏の皆さんによって美味しいところを持っていかれてショギョ=ムジョなのは悲しみを覚える。山内上杉氏も最後は御館の乱に巻き込まれてしまいましたからねえ。取り敢えずこの時期の関東の戦国については再読を要する本ばかりだ2023/02/14
榊原 香織
70
15c関東地方の政治状況はとにかく複雑で、読んでて、この人誰だっけ、となってしまう(何度出てきてもフルネームでお願い)。名前も似てますしねえ。 応永23年、禅秀の乱、襲われた持氏、酒に酔いつぶれていたが慌てて起きて部下の憲基の元へ逃げる、が、そこも酒宴の最中。 のんびりしてるというか(このように、名字書いてくれてない)2022/07/28
スー
20
21上杉氏の複雑な関係や関東公方との対立などわかりやすかったです。山内上杉と扇谷上杉は関東管領をめぐって常に対立していたと思ったたら意外と友好関係だった時間が長い事に驚きました。太田道灌暗殺で扇谷上杉の衰退に繋がったと思ってたら長尾景春の乱の討伐で領地を増やして力をつけた太田道灌を殺したが扇谷上杉から離反した者は少なく道灌を慕う者は少なく上杉に失望する者も少なかった様で事件後は安定を取り戻しているのに驚いた、道灌は自身の手柄に酔って増長していたのかもしれないですね2024/06/26
翠埜もぐら
18
上杉禅秀の乱、永享の乱、享徳の乱と関西よりもはるかに早く戦国期に突入した関東で旗頭であり続けた上杉氏。関東管領家である山之内上杉とそれを支える扇谷上杉だったはずなのに、享徳の乱途中から揺れ始めて長享の乱で直接対決となり、あげく後北条に両方とも飲み込まれてしまう訳で。長引く戦乱の中での中小領主の淘汰と所領の一円化、国衆の確立、主を凌駕する重臣の排除など「戦国大名」化が進んでいったのに長享の乱で共倒れとなってしまいました。ターニングポイントってどこだったのだろう。やっぱり伊勢宋瑞なのかな。2022/10/07
MUNEKAZ
14
山内と扇谷の両上杉氏を軸に、関東戦国史を描く。公方家という共通の敵がいる間はいいが、それが無くなれば…ということで、武蔵国を巡る争いなどから長享の乱へ。個人的には扇谷上杉氏が、惣領である山内上杉氏と並ぶ存在になったプロセスを知れたのが良かった。持朝、定正といった優秀な人物が続いたことや、山内上杉が当主の早世や戦死で安定しなかったことが重なり影響力を強めた。また両上杉とも「家宰」を克服しているというのも重要な指摘。顕定の構想した新しい公方ー管領体制が上手くいけば、後北条の台頭もなかったのかもしれない。2022/10/30
-
- 和書
- 氷の宮殿 二見文庫