出版社内容情報
宝永4年、富士山は620年ぶりに大噴火を起こした。生産・住居など生きる手段を失った住民たちの生活復興への戦いを描く。
内容説明
宝永四年(一七〇七)、富士山は六二〇年ぶりに大噴火を起こした。山麓の村はテフラに埋もれ、酒匂川が洪水を起こして足柄平野の村を押し流した。生産・住居など生きる手段を失った住民たちの生活復興への戦いを描く。
目次
六二〇年ぶりの大爆発
その日からの飢餓と訴願
幕領に切り替える
御厨地方、自力砂除の苦難
伊奈忠順の御厨巡検と砂除金支給
復興の道遠く
生き残りをかけた入会地紛争
酒匂川川筋一変
田中丘隅と文命堤
蓑笠之助の普請と足柄復興への道
終りなき御厨地方の苦闘
著者等紹介
永原慶二[ナガハラケイジ]
1922年中国大連市に生まれ東京に育つ。1944年東京帝国大学文学部国史学科卒業。東京大学史料編纂所員、一橋大学教授、日本福祉大学教授、和光大学教授を歴任。経済学博士。2004年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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とりもり
3
宝永噴火以降、活動休止中に見える富士山だが、もし噴火したらその被害は甚大なものになることは必至。その影響を知りたくて読んでみた。溶岩の流出はなく、短期間に噴火砂を撒き散らした宝永噴火だが、その影響が百年近くも残ったことに驚き。大量の降砂によって再興に長い年月を要した上流部と、その復興のために降砂を河川に流出させたため、河底が上がって氾濫を繰り返すようになった酒匂川下流域。江戸時代ですら大変だったのに、より経済が複雑になった現代において、複雑な利害関係を調整することが現政権にできるとは到底思えず。★★★☆☆2021/02/18
なかのっこ
0
江戸時代って天災が起きてもすぐに復興するイメージがあったけど、違うんだ。降灰被害のひどい所は綱吉さんの時代から維新を迎えるまでずーっと幕領だったとか。現代にいたってもなお環境が元に戻っていない被害地域があるなんて。幕府ではなく百姓側からみる被災史、いろいろ考えちゃうな。2016/02/10
緑のたぬき
0
富士山の宝永噴火と火山灰が降下した富士山付近の村々の被害状況と復旧過程について。かなりローカルな話がメイン。2022/04/02