内容説明
『忠臣蔵』で知られる赤穂事件。切腹(死)を恐れず「義」を重んじ主君の仇を討った浪士らは、果たして勝者だったのか、敗者だったのか。確かな史料に基づき事件の真相を再現。歴史における勝者と敗者について考える。
目次
1 刃傷事件(浅野内匠頭の思い;吉良上野介の評判 ほか)
2 大石内蔵助と急進派(御家再興を考える大石内蔵助;武士の一分にこだわる急進派 ほか)
3 討ち入りへの思い(討ち入りを決定した円山会議;赤穂浪人たちの江戸下向 ほか)
4 本懐を遂げる(討ち入り準備と脱盟者;吉良邸討ち入り)
5 討ち入りの結末(預け先での赤穂浪人;赤穂浪人の処分 ほか)
著者等紹介
山本博文[ヤマモトヒロフミ]
1957年岡山県津山市に生まれる。1982年東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。現在、東京大学大学院情報学環・史料編纂所教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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MUNEKAZ
13
「赤穂事件は勝者なき戦い」と著者は結んでいるが、浅野も吉良も関わった人がみんな死んだり、罰を被っているのだから、考えてみれば理不尽のピタゴラスイッチのようなもの。なぜ主君の遺恨を晴らすことに大石たちは命を懸けたのか。名誉や武士道もあるだろうが、本書では武士として、人としての義務感を挙げているのが印象に残る。現在からすると、義士たちの気持ちは全て推し量れないかもしれないが、理不尽とわかっていても付き合わなければいけない義務があるというのは、まぁ分からなくはないもの。自己犠牲を貫くことで、守られるモノもある。2024/12/11
keint
7
「忠臣蔵」でおなじみの赤穂事件を史料や手紙を基にして赤穂浪士の行動原理を解説している。単なる主君の忠義や仇討ではなく武士としての「義」を果たすことを信念としていた人たちが多くいたのが新しい発見であった。 また、赤穂事件のまとめとしてもわかりやすい書籍であるため、忠臣蔵の予備知識がなくとも、この本で発端からその後までを掴むことができる。2019/10/30
マウンテンゴリラ
2
本シリーズを読む中で、ほぼ共通して感じられたことは、権力者の非情さ、人間の強欲さであった。しかし本書に限っては、かなり印象の違う面が感じられた。赤穂事件に関しては、私自身もこれまで忠臣蔵という題名を冠された映画やドラマをいくつも見てきたが、ほぼ題名が示す方向に脚色されたものであろうと感じていた。ところが、本書のように、歴史的資料に基づいて検証された、赤穂浪士の実像が、あまり脚本された内容と変わらないということに、意外さと共に感動すら覚えた。特に、劇作において英雄視されがちな大石内蔵助について、→(2)2022/04/27
MrO
1
みんな敗者か。とはいえ、この事件における勝者、敗者ってなんだい。2022/01/23
Ryuji Saito
1
2016年166冊目2016/12/11
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- 和書
- 香港世界 河出文庫