内容説明
古代東北史に大きな足跡を残す二つの巨星。誉れ高き「征夷」の名将・坂上田村麻呂。悲劇と伝説につつまれた「蝦夷」の領袖・阿弖流為。征服と抵抗の歴史をたどり、謎多い二人の英雄とその時代に新たな光をあてる。
目次
1 知られたる将軍、知られざる領袖(坂上田村麻呂とその父祖;陸奥の阿弖流為)
2 田村麻呂までの鎮守と征夷(律令制の展開と東北;開拓と侵害と)
3 阿弖流為までの順服と抵抗(良民への憧憬;順化の矛盾と第二次抵抗)
4 延暦の邂逅(征夷進まず;将軍と領袖)
著者等紹介
新野直吉[ニイノナオヨシ]
1925年山形県に生まれる。1950年東北大学文学部国史学科卒業。秋田大学教授・同学長などを経て、秋田大学名誉教授、秋田県立博物館名誉館長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ジャズクラ本
13
○阿弖流為は史料に現れる頻度が限られているので、古代国家と東北の状況から筆を起こしていく必要があるのだろうが、先に読んだ樋口氏著 ミネルヴァの阿弖流為よりこちらは更に難易度高し。阿弖流為が坂ノ上田村麿を信じるに足ると見込んで降ったという解釈などは樋口氏と共通している(<公>という夷姓を称させられていることからも推察できる)。阿弖流為は東北の浪漫であり、希望の星。今後も重要な発見がなされることを強く望む。2020/09/10
響
6
祖父からの借本。流し読み。2013/01/13
金目
5
東北はじめ各地に多くの伝承伝説が残る坂上田村麻呂だけれども、正史に記録されている記述は結構少ない。この本では、古代国家と東北の副題通り、延暦年間に阿弖流為らが降伏するまでの流れが語られる。5万とか10万という大軍が派遣されるけれども、蝦夷はそんな大軍と正面から戦うわけもなく、征夷大将軍としての主な仕事は豊富な物量を基にして数千人単位の入植を繰り返し、実質支配領域を増やしながら、蝦夷の勢力圏を減らし、抵抗力を削いでいくことだったんだなと分かる。昔から大国の侵略はこの手なんだなぁとふとウクライナを思いました2022/06/08
ヨシモト@更新の度にナイスつけるの止めてね
3
著者の思い入れの濃さのためか、難解な表現を説明もなく連発したり、時に独りよがりな主張も多いが、学術書ではないのだからこのくらいは書いてしまってもいいのかもしれない。坂上田村麻呂とアテルイという二人の人物について語った本というより、大和朝廷の膨張と蝦夷討伐の歴史的変遷を、続日本記などの資料の記載から丹念に拾って明らかにする。興味がある読者なら、シロウトでも充分理解して読める本だった。2019/06/17
なあちゃん
2
地図が載っていないのでなかなか、ぴんと来ない。小説の阿弖流為は美化されている。2017/03/22
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