内容説明
国内統一戦争を進めつつ、豊臣秀吉がもくろんだのは、明帝国のもとに築かれた東アジア世界の秩序刷新だった!秀吉の思惑に翻弄された日本の武将、朝鮮士民の姿を描き、後世にまで禍根を残した戦争の実像に迫る。
目次
国際秩序再編の企て―プロローグ
1 征明を期して―東アジア国際秩序への挑戦
2 「唐入り」
3 講和交渉とその破綻
4 慶長の再派兵
5 復交―新たな国際関係の模索
いびつなる秩序回復―エピローグ
著者等紹介
中野等[ナカノヒトシ]
1958年生まれる。1985年九州大学大学院文学研究科博士後期課程中退。柳川古文書館学芸員を経て現在、九州大学大学院比較社会文化研究院教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みなみ
13
韓国の歴史ドラマでこの時代を見たのでドラマの復習を兼ねて学習のため読んだ。個別の戦闘ではなく戦争の経過を詳しくみる切り口。文禄・慶長の役それぞれの休戦期について詳しい。秀吉の死後の和平交渉・朝鮮半島に駐留した明軍の撤退問題は、秀吉死後の撤退だけをみると盲点であり、勉強になった。幕府を開いた家康は朝鮮との和平交渉でイニシアチブを発揮し、政権を自らが掌握していることを知らしめたという。日本の侵略により蹂躙される朝鮮の人たち、半島に渡り補給難や冬季の厳冬に苦しむ日本兵への目配りもあり、戦争の悲惨さを問うている。2022/03/04
金吾
11
文禄・慶長の役の概略がわかる本で、特に日本側の勢力については詳細にかかれています。ただ帯にあったなぜ秀吉がこの戦いを行ったのかははっきりしなかったです。2020/07/23
河童
3
国内が統一されると今度は海外への侵略か。白村江の戦い(663年)は朝鮮国内(百済)からの援助要請があってのことだろうから侵略戦争とは違うので、これが日本の歴史上はじめての侵略戦争なのかと思う。十数万人が朝鮮に出兵していることを考えると、かなり大規模。朝鮮の人々の犠牲者もかなりの数に上ったみたいです。日本は中国とは冊封関係になく台頭で、朝鮮は中国の冊封のもとにあったから日本より低い地位にある、そんな浅はかな考えが背景にあった、そのように推察します。非常に残念な歴史です。2018/07/12
史縁
2
文禄の役の計画~講話交渉~慶長の役~秀吉死後の講話交渉それぞれの段階について、秀吉政権の狙い、日本/朝鮮/明それぞれの軍事作戦、日本の統治の在り方、朝鮮民衆の動きが史料を丁寧に読み込んで冷静に分析している。文禄/慶長で戦争の目的の変化、日本の朝鮮に対する情報収集の甘さと思い込み、実際の戦闘状況を踏まえた現場の判断と上層部とのギャップ。蛮行と言われる朝鮮出兵を冷静に評価。 2023/11/30
MUNEKAZ
2
秀吉関連の本でよく見るので知ってるように感じるけれど、実は知らないことの多い朝鮮の役。「唐入り」を目指した侵攻だったので、休戦交渉などは日本と明の間で行われ、実際に国土を蹂躙されている朝鮮は蚊帳の外だったというのが印象的。日本も明も国内での面子を気にして、お互いの戦勝を主張し、それに朝鮮が異議を唱えたことで二次侵略を招いたというのが朝鮮の立場の悲哀を表していると思う。2016/04/28