内容説明
将軍家の継嗣問題、畠山・細川氏の内紛、三好長慶や松永久秀らによる争乱…。応仁・文明の乱後も畿内近国では戦乱が繰り広げられた。「英雄不在」といわれる信長以前の約一〇〇年間、「都の戦国時代」を詳細に描く。
目次
戦国期畿内・近国のイメージ プロローグ
1 応仁・文明の乱と山城国一揆
2 分裂と戦争
3 三好長慶の時代
4 合戦の様相
5 防御施設の発達
6 都市と戦争
織田信長の上洛以後 エピローグ
著者等紹介
福島克彦[フクシマカツヒコ]
1965年兵庫県に生まれる。1988年立命館大学文学部史学科西洋史学専攻卒業。1988~92年愛知県立知多高等学校教諭。現在、大山崎町歴史資料館学芸員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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孤独な読書人
14
応仁・文明の乱以降から織田信長の畿内侵攻ぐらいまでの畿内の戦国史。 他の地域に比べてメジャーな戦国大名がいないためあまり注目されていない地域だがこの地域にも戦国的状況がある。2018/12/01
MUNEKAZ
7
応仁の乱から信長の上洛戦までの政治史を描いた前半と、一揆や寺社勢力の形態、畿内での流通や城郭の発達など戦争を支える部分を描いた後半に分かれる一冊。マクロとミクロ、ハードウェアとソフトウェアなどいろいろ形容の仕方はあるのだが、複数の視点から畿内の複雑な政治状況や、その地域的特質を描き出そうとする試みは面白い。とくに畿内の戦国大名たちが、独自の城下町形成を行わず、既存の流通拠点を点で支配する志向があったことは、商業の先進地域ならではの現象で興味深い。同シリーズの「東国の~」「西国の~」とも差別化ができている。2015/05/27
mstr_kk
2
一般向けの戦国史本では適当にスルーされることも多い近畿の情勢の推移を扱う、とてもありがたい本です。2019/11/24
wang
1
戦国時代の畿内は平安京に近いことから多くの勢力が入り乱れ混沌とした状態。それをなんとか時代毎のテーマにまとめて整理している。山城国一揆、細川家、三好家、松永永久らの権力者の交替。さらに、城館などの防御施設の発展。大山崎の戦略的重要性に関連した内容など。2020/04/03
印度 洋一郎
1
応仁の乱から、織田信長が足利義昭を奉じて上洛するまでの約百年間の畿内とその周辺の戦国に注目。前半は、普通はスルーされる”英雄無き百年”の戦況について。幕府、守護、国人などの諸勢力が目まぐるしく衝突、連合、分裂を繰り返し、複雑な状況にあったことがわかる。戦局の中心にいたのは細川管領家とその家臣である三好一族だが、権力が次々と移行していく様は正に下剋上。後半は当時の戦争を様々な側面から分析。軍勢を支えるソフトウェアの動員システム、飛躍的に発達したハードウェアとしての城閣、戦国の軍事史的な位置づけも興味深い。2011/04/26