内容説明
平安貴族社会を揺るがした辺境の反乱=平将門の乱。全国各地に伝説が残り、今なお人々の絶大な信仰を集める将門の知られざる実像とその時代を、『将門記』や新史料などから描き出し、将門の乱の歴史的影響を検証する。
目次
1 平将門とその時代(『将門記』とは何か;治安の悪化 ほか)
2 将門の乱を探る(事件のはじまり;武蔵国への介入 ほか)
3 独立国家の夢(藤原純友の蜂起;国家の対応 ほか)
4 後世への影響(平安貴族からみた将門の乱;武士の成立 ほか)
著者等紹介
川尻秋生[カワジリアキオ]
1961年佐原市に生まれる。1986年早稲田大学大学院文学研究科修士課程史学(日本史学)専攻修了。千葉県立中央博物館上席研究員を経て、早稲田大学文学学術院准教授。博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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河童
5
関八州を掌中におさめたからには、人望があったに違いない。新皇を標榜したというのは将門の本意ではなかったかもしれない。もしかしたら謀略に堕ちたのか?いろいろ考えると、、、現在でも将門の支持者が多い理由がわかってくる気がする。興味は尽きない。。。2018/02/17
圓子
4
2021年に観た舞台作品中に重要人物として登場した平将門。そういえばよく知らないなと本書を選んだ。古代史家の史料読みって、近世近代のそれとは大きく様子が違うのだと改めて知る。「虫食いだらけの数文字をこねくり回して云々」と言っていた古代史ゼミの先生の言葉が思い出される。さて、本書の印象深い記述について①『(将門の政権樹立に際して)暦日博士のみは任命することができなかった』(それはだめだ~。そしてまんが陰陽師・安倍晴明のことを考えてしまう)2022/03/15
陽香
2
200704012017/06/24
印度 洋一郎
2
この時代の出来事にしては珍しく、「将門の乱」には詳細な記録(将門記)があるので、かなり細かいところまでわかるのだという。勿論、後世の粉飾めいた記述もあるけれど、それも含めてビビットにこの戦争の経緯がわかるのはありがたい。この戦いが、朝廷に戦の専門家の必要性を痛感させ、そこに各地に育ちつつあった軍事貴族とも言うべき人々が栄達のチャンスを捉え、双方の思惑が一致する形で武士階級が誕生していくという考察は興味深い。後々まで、この戦に参加したことが東国武士の家系には重要な功績になっていたらしい。2010/12/28
可兒
2
いつの時代も、発端は小さなこと2009/01/25