内容説明
日本の社会は室町期に激変した。現代文化の多くがその起源をもつこの時代に、民衆が歴史の舞台に現れ、村落・町・市場・交通路で躍動し始めた。政治の分権と文化・経済の地方への展開をみせた中世の社会を多面的に描く。
目次
1 農民の動向と村落共同体(山科七郷に見る村落共同体;武蔵国戸守郷の農民)
2 貨幣と土倉(土倉と徳政一揆;足利義満の日吉社参と大津土倉)
3 室町戦国の商人と交通(熊野・伊勢商人と中世の東国;南朝と伊勢大湊 ほか)
4 商業・技術・生産力(中世後期商業の性格と地方都市;中世~近世移行期の技術・生産力の発展)
5 社会分業と身分(女性史における南北朝・室町期;中世社会の展開と被差別身分制 ほか)
著者等紹介
永原慶二[ナガハラケイジ]
1922年中国大連市に生まれる。1944年東京大学文学部国史学科卒業。東京大学史学編纂所員、一橋大学教授、和光大学教授、日本福祉大学客員教授等を歴任。経済学博士。2004年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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おらひらお
3
2006年初版。仕事の関係で中世の物流を学ぶ必要が出てきたので図書館で借用。既出論文を集めたもので、必要箇所に目をとおしました。2019/05/30
ohmi_jin
1
室町戦国時代の村落や土倉と一揆の関わり、及び商業の発達や社会分業の動きから女性史をみる。一見ばらばらの内容で纏まりが無いように思うが、これは社会史から(網野善彦等)の挑戦に対するアンチテーゼとして論ぜられている。2014/10/27
今西行
1
特に海路に注目して読んだ。室町時代、遠隔地間の交通は思っていたよりも盛んだったようだ2011/01/02
総兵衛
0
室町・戦国期の社会の諸相を民衆、或いは経済や社会体制から問う良書です。私は社会の諸相に疎く、本書を読み進めるには中々厳しかったところもありますが、読んで良かったと思います。 一例として村落共同体の形。逞しさの一方で厳しい一面もあり(違反者を追い出す、関所を設けて関銭を払わせる等)、支配━被支配の必ずしも一方的ではなく、時には結託して高次支配に対する訳ですから油断がならない。─というような事を感じました。2020/06/15