内容説明
壇ノ浦で海に沈んだ女房、女性だけで戦った領主層の妻…。女性たちが戦争の被害を受け、加担してきた軌跡を社会状況やジェンダーの変化と重ねて辿る。紛争を平和的に解決した役割にもふれ、女性と戦との関わりを考える。
目次
1 戦争不在の時代から戦争の開始へ
2 古代社会の戦争と女性
3 中世の戦争・暴力と女性
4 近世・幕末維新期の戦争と女性
5 紛争解決と女性
6 暴力への抵抗と否定
著者等紹介
西村汎子[ニシムラヒロコ]
1928年東京都に生まれる。1952年東京大学文学部国史学科卒業。1957年同大学院修了。現在、白梅学園短期大学名誉教授
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感想・レビュー
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Toska
17
戦争・暴力と女性について考える史論集の第1巻。対象は古墳時代から戊辰戦争まで。女性を「戦わない/戦えない性」「一方的な被害者」と見る旧来の観念に反し、自力救済社会の中では女性たちも暴力とも主体的な関わりを持つ場合があった。「耳鼻削ぎ」の脅しで有名な阿弖河庄上村の地頭が実は女性だった可能性が高い、という事実は衝撃的(黒田弘子の論考)。他方、戦場が専ら男性の世界と見なされたこと、性暴力や拐かしなど女性特有の抑圧が存在したことも厳然たる事実であり、論者によって様々な方向に掘り下げが行われている。2025/06/16
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- 和書
- 川瀬敏郎一日一花