出版社内容情報
弘徽殿・藤壺・梅壺など『源氏物語』で光源氏をとりまく后妃たちが暮らした場所には、それぞれ深い意味があった。平安京内裏に存在した天皇の家族の住まい「後宮殿舎」に光を当て、さまざまな平安朝物語の記述と比較しながら、その意味を探る。素材となった史実や物語に込めた作者の意図を知れば、後宮世界への理解が深まり、物語がより楽しめる。
内容説明
弘徽殿・藤壺・梅壺など『源氏物語』で后妃たちが暮らす場所には、それぞれ意味があった。平安京内裏の「後宮殿舎」に着目し、多様な平安朝物語の記述と比較しながら、素材となった史実や物語に込めた作者の意図を探る。
目次
紫式部と内裏―プロローグ
平安時代の後宮(天皇と后妃の住まい;天皇と后妃の夫婦生活)
「殿」と呼ばれる建物(弘徽殿と常寧殿―悪役の住まい;承香殿―後宮第二位のキサキの住まい;麗景殿―転落するキサキの住まい;その他の殿―后妃の使用頻度の低い殿)
「舎」(壺)と呼ばれる建物(淑景舎(桐壺)―『源氏物語』主人公一族の拠点
飛香舎(藤壺)―ヒロインの住まい
凝華舎(梅壺)―劣勢に立つキサキの住まい
その他の舎―東宮に使用される空間)
後宮殿舎の役割―エピローグ
著者等紹介
栗本賀世子[クリモトカヨコ]
1981年、奈良県に生まれる。現在、慶應義塾大学文学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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パトラッシュ
122
『源氏物語』に登場する女性は、それぞれが住まう後宮殿舎の名で呼ばれる。それは紫式部が適当に選んだのではなく、各殿舎の位置や故事などを知り尽くした上で「この女はここがふさわしい」と割り当てたのだ。後宮随一の后妃が住んだ弘徽殿は権力者の城であり、不審死を遂げた妃のいた桐壺は悲劇の舞台として、紫式部が仕えた道長の娘彰子がいた梅壺はヒロインの住居にふさわしかった。道長の全盛期に書き継がれただけに、舞台装置である殿舎にも当時の政治情勢が色濃く反映していた。当時の宮中の女性も、全てを承知して読んでいたのは確かだろう。2024/07/28
そーだ
4
平安京内裏の七殿五舎について興味はあったけれど、それほど詳しくなかったのでとても面白く読めた。2024/06/30
読書記録(2018/10~)
3
かつて角田文衛『承香殿の女御』を読んで以来気になっていたテーマ、平安京内裏の後宮殿舎とそこに住む后妃の関係。史実や物語を追いながら検討する内容。どちらかだけでなく準拠など影響を考察するのがよい。やはり承香殿は「負のイメージ」……2024/07/16
るんた
2
平安時代の後宮殿舎を中心に扱った読み物は見たことなかったので、今まで古語辞典の巻末資料だけでなんとなくイメージしていた殿舎と后妃の関係がよくわかって面白かった。史実の妃と照らして考察されているので、現実と物語の違いも分かりやすかったです。 弘徽殿大后などは、今まで嫉妬深い敵役としてだけ語られていたけど、史実の藤原安子や詮子と重ねると上り詰めたキャリアウーマンの孤独なども見えてくるかましれません。もう一度源氏物語を読みたくなりました。2025/02/09
takao
2
ふむ2024/09/19