出版社内容情報
答弁中にブチギレる海軍大臣、開戦を躊躇する天皇、「イタズラ」で内閣を倒してしまう日陰者。近代史を彩る悲喜劇を演じた、個性ゆたかな戦前の政治家たち。彼らの放った「ことば」には、ときに本人たちの意図をも超えた含蓄が宿った。その声に耳を傾け、発言の背景から政治の面白さを読み解く。名言・失言を軸に見通す、新たな近代通史の試み。
内容説明
答弁中にキレる大臣、開戦を躊躇う天皇、悪ふざけで内閣をゆさぶった日陰者。近代史を彩る政治家たちの個性ゆたかな「ことば」を繙けば、政治の面白さが見えてくる。名言・失言を軸に見通す、新たな近代通史の試み。
目次
政治とは表現である―プロローグ
帝国議会と戦争(樺山資紀のふるった「蛮勇」;明治天皇の日清戦争;勅語奉答文の爆弾)
政党と政治文化(「密約」の起源;政党リーダーたちの金の作法;名演説の舞台装置)
政党政治の成熟と混迷(床次竹二郎の未練;牛歩戦術の御披露目興行;井上準之助の「意地」;斎藤隆夫の標的)
「ことば」による日本近現代史たり得たか―エピローグ
著者等紹介
村瀬信一[ムラセシンイチ]
1954年、東京都に生まれる。現在、川村学園女子大学・清泉女子大学非常勤講師、博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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穀雨
7
樺山資紀のいわゆる蛮勇演説や勅語奉答文事件、斎藤隆夫の反軍演説などが取り上げられている。大正政変や第二次護憲運動の経緯については、従来の通説とはやや異なる切り口から解説されており、なるほどと思うことも多かった。他方、文章が多分にエッセイ風で、帝国議会における牛歩戦術の話からいきなりアメリカ映画の話に飛ぶなど、やや蛇足ではという部分も散見された。2024/12/04
あらい/にったのひと
2
勅語奉答文の爆弾を筆頭に面白い話がいくつかある。けど、これなら講談社現代新書でいいかな…という気もする。岸信介と安倍晋三の関係性をわざわざ書いていたり、総じて歴史文化ライブラリーの中でも初心者向けに書かれているのかな、という感じはした。入口の本としては好適、そこから先だともうちょい細かく書いてほしい気がするかも? という本でした。2024/04/12
Go Extreme
1
政治≒表現 名言:気負いもなく口にした→意外に含蓄 失言:感情のおもむくまま吐露→少なからず意味あり 明治天皇の日清戦争:宮内大臣の困惑 直面した大戦争 動き出す天皇 京都から東京へ 多彩な役割 意志を持つ天皇 天皇親政運動 議会開設と天皇 日清戦争の勝利がもたらしたもの 精励する天皇 円熟した天皇 天皇が演出した政権交代 元老の一員 名演説の3類型:理念協調型・政策論争型・弾劾型 自由民権運動の遺産 エンタメとしての演説2024/05/22
siomin
0
政治家はどのような発言をするかというのは非常に大事。明治から戦前までを中心に時代のトピックとなった発言をまとめた一冊。良くも悪くも戦前の政治家は肝が据わっているというべきか。床次竹二郎あたりにスポットを当てているのは日本史選択には面白いところ。初期の議会選挙は政党がはっきりと機能しなかったため品川弥二郎の選挙干渉は奏功しなかったとか,日露戦争で増税が課されるようになった結果選挙権を獲得した人が増えたとか,歴史のこぼれ話も面白い。2024/06/28