出版社内容情報
『源氏物語』の舞台である、光源氏や頭中将らが活躍する宮廷は、史実と異なる設定を加え巧みに描かれた世界だが、実際の王朝社会とはどこがどう違ったのか。天皇の多忙な一日や宮中のしきたり、「中将」の仕事内容、皇女たちの結婚など、貴族の日常生活をわかりやすく解説する。現実の王朝時代を知ると、『源氏物語』がよりいっそう楽しめる。
内容説明
『源氏物語』で光源氏や頭中将らが活躍する宮廷は、史実と異なる設定で描かれているが、実際の王朝社会とはどう違ったのか。貴族たちの日常生活や仕事をわかりやすく解説。『源氏物語』がよりいっそう楽しめる一冊。
目次
『源氏物語』が生まれた時代―プロローグ
皇子たちの王朝時代(朝から忙しい天皇;数字で見る皇子;気楽な上皇)
皇女たちの王朝時代(結婚できない皇女;罪深い伊勢斎宮;人生を楽しむ賀茂斎院)
王朝時代の「貴族」たち(上中下に分かたれる貴族たち;働く中将)
『源氏物語』を楽しんだ人々―エピローグ
著者等紹介
繁田信一[シゲタシンイチ]
1968年、東京都に生まれる。現在、神奈川大学日本常民文化研究所特別研究員、同大学国際日本学部非常勤講師、博士(歴史民俗資料学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
shikashika555
38
物語当時の宮中や貴族の様子が分かりやすく書かれている。とても読みやすい。 源氏の大将は随分マメに出仕しているが業務内容はどのようなものかかねてより疑問だったが、どうやら食事時の給仕とあとは清涼殿に居るだけが仕事という状況だったらしい。 現代でもエラい人ほどヒマで忙しくしてるのは派遣や非正規だからねー。 あと雨夜の品定めで疑問に感じた上の品 中の品 下の品という区別の基準も解説されており勉強になりました。 斎王についても、伊勢と賀茂では随分な違いがあること、伊勢では仏教禁制だった事なども2024/01/03
もえ
24
図書館の企画展示用に新刊を取り寄せ読了。源氏物語に登場する貴族たちは、どのような日常生活や仕事をしていたのかを史実に基づいて分かりやすく書かれていて、興味深かった。天皇は早起きして朝食も食べずに公務についていたなど…。王朝時代の天皇や皇子たちが短命であったのも近親婚の繰り返しを思えば納得である。一方、源氏物語では結婚により不幸になる皇女が描かれていたが、実際は結婚できない皇女の方が多かったそうだ。道長の祖父である藤原師輔が自分の野心のために、皇女3人を強姦し無理やり結婚した話など、驚きの史実も多かった。2023/11/20
かもめ通信
18
『源氏物語』が世に出るための土壌となった概ね十世紀から十一世紀までの平安時代中期の「王朝時代」のあれこれを紹介することで、物語への理解をより深めることが出来るはず…というコンセプトで書かれた本。知ればなおさら面白いということは多いが、知りたくなかったこともあるかも!? 2024/02/05
わらわら
10
大河「光る君へ」を見て平安の王朝時代に興味を持つ。皇子は幸せなのか?寿命はどうなのか?給料は?そして皇女はどうなのか?頷きながら読む。藤原の政権の威力がすごい。光る君へを見ていて近親相姦をめっちゃ感じていたが実際にもそうである。王朝を維持していくとなるとそういう考えになるようだ。現代には考えられないことです。女天皇も奈良時代までは存在していたが平安時代になるとなくなる。現代で復活するのもよいのではないか。この王朝時代から武士が関わっていく平家の時代にも興味が湧いてきた。平家物語も読んでみようかと思う。2024/07/27
きゅうり
7
桐壺の更衣の住まいが現実では藤原氏の控室だった、つまり光源氏の世界線には摂政関白はいない 、ってのがびっくり。その当時常識でも今ではわからないことがたくさんある。2024/02/23