出版社内容情報
今から約4500年前に西アジアで発明され、美しい珠や器となって、はるか東方へともたらされたガラス。それらはどのような人物が入手し、そこにはいかなる意味があるのか。シルクロードの東西交渉や、ユーラシア諸社会の栄枯盛衰、日本列島と大陸の交流などを、出土したガラス製品から読み解き、活き活きとした古代の人々の姿を映し出す。
内容説明
はるかな旅路を越え古代社会を映し出すガラスの魅力!
目次
美しい古代ガラスの世界―プロローグ
ガラスの特性と歴史
蜻蛉珠と草原シルクロード
漢代のガラスとユーラシアネットワーク
弥生社会のガラスと大陸との交流
激動のユーラシアとガラス
ガラスが見てきたユーラシア―エピローグ
著者等紹介
小寺智津子[コテラチズコ]
愛知県に生まれる。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。現在、国士舘大学・駒澤大学・創価大学非常勤講師、博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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アキ
119
ガラスは今から約4500年前に西アジアで発明された。メソポタミアから古代エジプト、そして古代ローマでローマンガラスが発展した。シルクロードにはオアシス・草原・海上ルートがあり、中国の中原に至る。日本列島にガラス製品がみられるのは弥生時代で珠類がその多くを占める。北部九州を中心に西日本の日本海側に多く出土される。弥生後期には近畿にも広がりをみるが楽浪郡との関連が推測される。3世紀頃にサザン系ガラス器が増え、日本で古墳時代にガラス器が初めて表れる。仏教における瑠璃の影響は、唐招提寺の西国舎利瓶にも見てとれる。2023/04/05
六点
117
古代西アジアで発明され、東方に齎されたガラス製品。その足跡は宮城県登米郡にまでおよび、「考古学的に謎だらけ」な物と化しているそうな。汎ユーラシア的な交易製品となったガラスは、半成品のインゴットとしても取引されていたという「科学的知見が必ずしも生産地と、加工地が同一であることを指し示さない」と言う、考古学者の知的探究心を掻き立てて止まないそうである。日本の弥生文化の時代、首長的存在は、その身を飾るのに藍~青のガラス珠を選好したという。理由は不明である。謎は謎と書く著者の誠実さが現れた好著である。2023/07/30
しんい
9
新しい視点をもらえる本。文章の読みやすさや構成は改良の余地を感じるが、ガラスという、宝石とちがって現代では希少品としての価値は失われたが、人が製造可能で製造技術の違いで大まかな生産地の推定可能なモノを通すことで、これまで興味が持ちづらかった古代の東西交流史が具体的になり、がぜん興味がわいた。2023/02/05
遊動する旧石器人
3
2023年1月1日第1刷発行。ガラス製品について、ユーラシアの東西を繋いで語った1冊。なかなか広い視野で見ることの少ない考古学の世界では、マクロ的俯瞰がなされていて良かった。ただし、マクロ的俯瞰故に、ミクロ的情報にはやや問題があるところもあり、さらにガラスに関する情報はアップデートされているものの、その他、特に交易論についてはアップデートされておらず、古い学説の援用が目立った。また楽浪郡に多様なガラスが流入していたという現象は確かだが、楽浪郡を目的地化したモノのベクトルは、中国の内情を度外視してると思う。2023/04/21
takao
2
ふむ2023/05/01