出版社内容情報
「北方の王者」奥州藤原氏の中心地平泉から北へ約60キロに存在した中核都市「比爪」。近年の発掘調査で、広大な遺跡範囲や居館・宗教施設の遺構、数多く出土するかわらけや陶磁器など、平泉に匹敵する姿がみえてきた。これら考古成果と文献史料を駆使し、都市構造や統治のあり方、平泉との関係などを考察。知られざる比爪系奥州藤原氏の歴史に迫る。
内容説明
奥州藤原氏の拠点平泉の北方に存在した中核都市「比爪」。近年の発掘調査で平泉に匹敵する姿がみえてきた。文献も駆使し、都市構造や統治のあり方、平泉との関係などを考察。知られざる比爪系奥州藤原氏の歴史に迫る。
目次
比爪研究に至る経緯―プロローグ
比爪とは何か
史資料でみる比爪
考古学からみた比爪
比爪の宗教世界
比爪の真実
比爪研究の意義―エピローグ
著者等紹介
羽柴直人[ハシバナオト]
1965年、岩手県に生まれる。現在、岩手県立平泉世界遺産ガイダンスセンター上席専門学芸員、博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ちくわん
24
2022年8月の本。今の日詰に平泉系奥州藤原氏 清衡の息子清綱を祖とする「比爪」系奥州藤原氏もあった、という本。廃仏毀釈により、それを示す直接的な資料はなくなったが、吾妻鏡などの文献や発掘調査資料から推測していく。廃仏毀釈前の江戸時代ならもっと何か残っていたのだろうか?十二世紀以前の北日本の何かを隠すために廃仏毀釈を行ったのか?という勝手に妄想をしながら地元研究者による地元の歴史研究書を読む。こうした本が出版・販売されていることに感謝するとともに、皆にも是非是非読んでもらいたいと願う。2022/10/27
ようはん
18
奥州藤原氏の支流である比爪系藤原氏の存在は知ってはいたが、本拠である比爪は遺跡発掘調査により平泉に次ぐ第二の都市として発展した事が判明する等奥州藤原氏もまだまだ研究成果が出ていて奥が深い。2022/10/16
アメヲトコ
9
2022年8月刊。花巻と盛岡の中間地点に立地する比爪は、奥州藤原氏清衡の末子清綱の系統が拠点を置いた要衝でした。この知られざる中世都市比爪に光を当てた著者は、この地が平泉に匹敵する存在であったと高く評価しますが、大胆な推論に拠るところが多く、実像判明はこれからという印象です。それにしてもかつて比爪に立地し、近世に盛岡城下に移転した諸寺院が廃仏毀釈で潰され、比爪の歴史解明の大きな手がかりが喪われてしまったのは惜しまれます。2023/03/27
うしうし
8
奥州平泉2代の基衡の弟である藤原清綱を初代とする比爪系奥州藤原氏を検討した書籍。頼朝の奥州討伐時には、清綱の子である俊衡(法師)を始めとした一族が投降し、本領を安堵されている。比爪館・仮称大銀館を中核部として、周辺に複数の寺院が存在する都市景観をなしていることが推定されている。考古学的な調査は未だ不十分であるが、平泉と同様な重要遺跡であることを学んだ。2022/11/09
Βουλγαροκτόνος
3
非常に良質な研究・考察に裏付けられた名著▼「比爪」はもはやJR東北線の「日詰」駅以外では全く知られていない地である。表記でさえ「樋爪」という誤ったものがあるのだ▼加えて、12世紀の奥六郡について残されたものも少なく、発掘調査も進んでいない▼そんな中でも、限られた資料の中から時に繊細に、時に大胆に仮説を提示する筆者。その鋭さには唸らされる▼さらに理解と研究が進み、「比爪」の全貌に近づいていってほしい!そう強く感じた。2023/03/01
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