出版社内容情報
豪族 氏族 蘇我 飛鳥 守屋 聖徳太子 厩戸 仏教
内容説明
倭政権下、仏教の受容をめぐり蘇我氏と対立し、敗北したとされる物部氏。その祖先伝承や職掌の実態、「崇仏論争」記事の信憑性など、成立から衰退までをわかりやすく解説。謎に包まれた物部氏の実像を解き明かす。
目次
物部氏をめぐる諸問題―プロローグ
祖先伝承のなかの物部氏
物部氏の成立とその性格
全盛期の物部氏
守屋の敗北と物部氏の衰退
石上麻呂の台頭―エピローグ
著者等紹介
篠川賢[シノカワケン]
1950年、神奈川県に生まれる。1981年、北海道大学大学院文学研究科博士課程修了。現在、成城大学名誉教授、博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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パパ
2
継体朝から大和王権に臣従した連(マエツキミ)の一族が物部氏である。琵琶湖淀川水系を支配していたことから安曇族との関係を類推する。同じく同時期から勢力を伸ばした大伴氏は、住吉大社を本拠とする記述から宗像氏との関連を思い浮かべる。本書自身は物部氏の年代記をまとめたものだが、古代の政治勢力のあり方を想像させる。2023/03/25
Oltmk
1
篠川賢氏による物部氏の盛衰と没落を一まとめにした専門書ではあるのだが、記紀の記述というものが研究者ごとのスタンスによって解釈も異なってしまうというのを深く痛感したし、如何に古代日本史が難しいのかを理解させられた。他にも、推古帝などの女性天皇の事を中継ぎの天皇と表現したり老域に入った研究者の認識もどうよと足を踏み込む事も出来るので、本当に古代史の奥深さと難しさが理解できました。2022/08/20
NyanNyanShinji
0
古代氏族としてモノ造りや警察権を主とした武力・祭祀とさまざまな職掌を束ねた物部氏。彼らのヤマト王権への参加は、本拠ナニワの地から大伴氏と共にヲホド王(継体天皇)を担ぎ出した事から始まった。その後ら大伴氏失脚と前後して蘇我氏が台頭し、その蘇我氏に敗れたが、天武天皇期に石上氏として政権に復帰した。氏族としての彼らの歴史を日本書紀や古事記の記述から虚飾を出来るだけ取り除き、分かりやすかった。ただ氏族としての物部氏なのか職掌集団としての物部なのかが少し分かりづらかった。また再読してみたい。2022/08/25