出版社内容情報
承久の乱後に京都に置かれた鎌倉幕府の出先機関、六波羅探題。洛中の治安維持と裁判を担い悪党の鎮圧を任されるなど、西国統治に重要な役割を果たした。北条一門の有力者が任命され、執権・連署に次ぐ重職とされた実態はいかに。朝廷や大寺社とも折衝しつつ、機能を整えていった変遷を辿り、政治家としての力量が問われた探題北条氏の姿を描く。
内容説明
承久の乱後に京都に置かれ、西国統治に重要な役割を果たした六波羅探題。執権・連署に次ぐ重職とされた実態やいかに。朝廷や大寺社とも折衝しつつ機能を整えた変遷と、政治家の力量が問われた探題北条氏の苦闘を描く。
目次
六波羅探題以前―プロローグ
六波羅探題の成立
極楽寺流北条氏の探題時代
転換期の六波羅探題
探題を支えた在京人たち
南方探題主導の時代
六波羅探題の滅亡
なぜ滅亡したのか―エピローグ
著者等紹介
森幸夫[モリユキオ]
1961年、神奈川県に生まれる。1983年、國學院大學文学部史学科卒業。1989年、國學院大學大学院博士課程単位取得退学。現在、國學院大學非常勤講師、博士(歴史学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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鯖
22
歴代六波羅探題の経歴から幕府内や朝廷での位置づけ、その成立から滅亡までを評した書。それぞれの探題がその代の執権から一字ずつ名をもらってるんだなあ。在京人に対する処罰や人事権恩賞権がないため、鎌倉に逆らうのは難しい代わりに京で求心力を得ることができなかった。朝廷や寺社との結びつきを警戒したため、北条氏勢力が僅少だったこと、そのため在京人の負担が過重だったことから離反を招いたこと。室町の関東管領と比べて、どっちがマシなのかなあ…。2023/03/03
サケ太
20
六波羅探題。日本史の教科書でも特に印象に残っている名称なのだが、その実態についてはあまり触れられていない。朝廷の監視機関というざっくりとした理解のままにいたわけだが、承久の乱から京都守護を経て創設された機関。その役割。以外に長い鎌倉時代においてのその変遷から、歴代の探題や彼らを支えた探題被官、在京人たち。京都でその存在感を発揮しつつも、何故滅んだのか。それまでの経歴を踏まえれば確かに納得。今まで知らなかった人物にフォーカスが当てられていて大変興味深い1冊。2021/10/28
MUNEKAZ
14
六波羅探題の概説書。制度史、幕政上の位置づけ、歴代探題の紹介などがコンパクトにまとめられており、ニッチな内容ながら非常に読みやすい。公武共調の最前線を担う役所だけに、探題は家格や年齢の順送り人事ではなく、有能な人材の抜擢が多く、優秀な人物も多い印象。北条氏の中からだけとはいえ、室町幕府の関東管領のように一つの家、流派の家職とならなかったのが興味深い。また探題に仕えた在京人たちが、室町幕府を支える奉公衆に転身したりと、都を管理する武家の行政機関の基になったのもうかがえる。2022/01/06
アメヲトコ
13
21年11月刊。六波羅探題(同時代的用語ではないらしい)の成立から滅亡までを通史的に解説した一冊。北条一門からの探題が入れ替わり立ち替わり上洛し、系図が大いに助けになりました。探題が独立した勢力とならないように北条氏の配置を抑え、権限も限定していたことが、最終的には六波羅の滅亡につながったというのは何とも皮肉です。2022/01/24
浅香山三郎
12
六波羅探題の通史を一般向けにまとめる。北条重時の極楽寺流と密接に結びついた初期の運営形態から、やがて、鎌倉時代半ばの北条時村の就任を境に、誰がやつても同じやうに物事が処理されるやうに機構・システムが整へられる。ある意味では、北条氏の非主流の人びとの処遇先として存在しながら、在京人や官僚層に支ヘられて、京都の治安維持機能を果たすものの、探題が鎌倉幕府から独立して与へられた権限は限定的であつた。元弘の乱における、畿内武士の後醍醐天皇方への離反は、在京人にも及び、独自な軍事力に乏しい探題は滅亡に及ぶ。↓2021/12/05