出版社内容情報
生糸生産発展の一方で生じた経済格差、農兵が鎮圧した武州一揆などの要因・実態を探る。未曽有の大変革に生きた多摩の営みを描く。
内容説明
ペリー来航や開港・自由貿易の開始は多摩に何をもたらしたのか。際限ないカネ・ヒトの負担、生糸生産発展の一方で生じた経済格差、武州一揆の発生など、その要因・実態を探り、未曽有の大変革に生きた多摩の営みを描く。
目次
幕末の多摩―プロローグ
幕末の歴史と多摩
際限のない負担増
治安の悪化
開港と地域社会の変容
慶応二年武州一揆と多摩
幕末の変革期に生きた多摩の人びと―エピローグ
著者等紹介
藤田覚[フジタサトル]
1946年、長野県に生まれる。1974年、東北大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。現在、東京大学名誉教授、文学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鵐窟庵
7
江戸幕末から明治維新にかけての東京多摩地区の歴史。開国の激動の影響を被り、東京中央から財政負担増や兵役普段増が行われた。また物価高騰もあり、中小農家の負担はますます苦しくなり、治安が悪化して各地で一揆が起こった。また、そのため無一文になった農家は生糸に縋り付いた。今でも八王子から横浜までの地域が「生糸の道」と呼ばれるのは当時八王子産生糸を横浜で積荷して世界中に輸出していたからである。今でこそ多摩は東京郊外の緑の多い環境だが、当時は江戸東京中心部のされるがままの存在であった。2020/09/12
アメヲトコ
6
20年7月刊。これまでの著者の政治史研究とは異なり、開国後の激動を、現八王子市市域を中心とする地域社会の視座から描いた一冊。横浜と「絹の道」でつながる八王子の隆盛と地域社会の激変ぶりを読むと、八王子を中心とする現在の交通網のありようとか、某有名シンガーソングライターを生んだ土壌なども腑に落ちるところがあります。なお新撰組についてはわずかしか触れられていないので、タイトルからそちらに期待されている方は注意。2020/10/17
onepei
1
治安活動に引っ張りだしながらも、武芸は禁じていたというのが興味深い2020/11/21
Sanchai
0
ペリー来航から大政奉還までの約15年間の、多摩地区、特に八王子周辺のランドスケープの激変ぶりを描いた本。わずかな期間のうちに、田畑がどんどん桑畑に変わっていく様子が目に浮かぶ。2020/10/16
-
- 和書
- 日本中世の山野紛争と秩序