出版社内容情報
「新皇」即位―。皇統を揺るがせ、朝廷に衝撃を与えた平将門の乱。貴族社会に深い刻印を残した反乱の原因を探りつつ、その過程に八幡神や天神など新しい神々が登場する意味や国家の高度な支配イデオロギーである王土王民思想が発現される要因などに焦点をあてる。古代社会の大転換を象徴する反乱を多角的に分析し、その国家史的意義を読み解く。
内容説明
「新皇」即位―。皇統を揺るがせ、朝廷に衝撃を与えた平将門の乱。乱の原因を探りつつ、その過程に八幡神や天神など新しい神々が登場する意味や王土王民思想が発現される要因を分析し、反乱の国家史的意義を読み解く。
目次
「平将門の乱」とはなにか―プロローグ
平氏一族内紛の要因―「女論」か「遺領争い」か
国府襲撃と平将門の政治的地位―「移牒」と「営所」の評価を中心に
「新皇」即位と八幡神・道真の霊
「新皇」即位と王土王民思想
「冥界消息」と蘇生譚の世界
「新皇」将門の国家構想―エピローグ
著者等紹介
木村茂光[キムラシゲミツ]
1946年、北海道に生まれる。1970年、東京都立大学人文学部史学専攻卒業。1978年、大阪市立大学大学院文学研究科博士課程国史学専攻単位取得退学。現在、東京学芸大学名誉教授、博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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さとうしん
12
序盤で平氏一族内紛の要因について議論していたりもするが、メインは新皇即位の思想史的意義に関する議論。関東に道真信仰が持ち込まれた経緯や、新皇即位が中央政界にインパクトをもたらした背景として、光孝即位以後の皇統のゆらぎや、唐・渤海・新羅の滅亡などを挙げているのがおもしろい。2019/11/05
ミネ吉
11
平将門の乱。有名だが良く知らないので手に取った。読んでわかったのは、この事件の謎の多さ。きっかけとなる平氏一族の内紛は、何故内紛が起きたのか不明。次に将門が、武蔵国で国史と郡司の対立の調停に乗り出すが、何故無位無官の将門が仲裁するのか不明。そして行き違いから東国諸国を攻め落とし八幡菩薩と菅原道真の霊魂を背景に「新皇」を名乗る・・・唐突感がある。本書はこれら謎を、当時の東国平氏の位置付けや、宗教的・思想的背景などを元に推測する。明確な答えは得られないが、当時の物の見方考え方に触れられた気がして楽しかった。2024/04/07