出版社内容情報
生産地の移動や技術革新からその発展を探り、「海のたたら、山のたたら」の視点で多様性を解明。産業や暮らしを支えた実像に迫る。
内容説明
日本独自の製鉄法、たたら。生産地の移動や製鉄技術の革新からその発展を探り、「海のたたら、山のたたら」の視点で多様性を明らかにする。近代化のなかで果たした役割を考え、産業や暮らしを支えた、たたらの実像に迫る。
目次
たたらのイメージ―プロローグ
たたら製鉄への道
たたら製鉄の技術と信仰
海のたたら、山のたたら
たたら製鉄と近代
東アジアの中のたたら製鉄―エピローグ
著者等紹介
角田徳幸[カクダノリユキ]
1962年、広島県に生まれる。1985年、島根大学文学専攻科修了。島根県教育庁文化財課、島根県立古代出雲歴史博物館などを経て、島根県埋蔵文化財調査センター調整監、博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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六点
67
たたら製鉄の歴史を考古学の成果によって古代から近代まで、そしてチャイナや朝鮮半島の類例まで追いかけた本である。古代には存在した鉄鉱石を原料に行われた製鉄が、資源枯渇により廃絶したり、現代の製鉄所に通じるような「原料の海上輸送」を前提とした海のたたらなど、玉鋼伝説に毒された者にとっては目からうろこの事実ばかりである。そして、近代に入っても工具鋼として生き延びていた山陰の製鉄を消滅させたのはワシントン海軍軍縮条約と言う恐ろしい事実である。これだけの巨大産業が滅びればそりゃあ山陰地方の人口減も宜なるかな。2019/12/30
アメヲトコ
10
2019年刊。たたら製鉄に関する通史です。本書冒頭でも取り上げられているとおり、たたらは映画もののけ姫の舞台としても知られていますが、映画で印象的に描かれる高殿や天秤鞴というのは近世の姿なんだとか。またたたらは山の中で行われるのみならず、輸送の便から海や川沿いにも展開していたとの指摘も興味深いところ。さらに近代も第一次大戦あたりまではたたら製品が呉に納入されて海軍に利用されていたというのも知らなかった。エピローグでの東アジアの製鉄事情との比較も勉強になりました。2025/05/14
onepei
7
明治大正昭和になっても続いていたとは意外だった。 いろいろと興味深い。2019/07/13
onepei
6
見学したので再読2020/01/13
takao
4
☆砂鉄を利用する「海のたたら」「川のたたら」、鉱石を利用する「山のたたら」 2019/11/18