出版社内容情報
危機と幸運が背中合わせだった戦国末期。のちに天下人となる徳川家康の生涯で最大の試練は武田氏との抗争だった。今川領国への侵攻から三方原(みかたばら)の戦い、高天神城(たかてんじんじょう)を巡る攻防を経て武田氏の滅亡まで、最新の研究成果をふまえて描く。織田信長、足利義昭とのかかわり、松平信康(のぶやす)事件、そして本能寺の変。苦難の時代を克服していった家康の前半生。
内容説明
信玄・勝頼二代にわたる武田氏との抗争は、家康最大の試練だった。今川領国への侵攻から武田氏滅亡まで、新説をふまえて描く。信長、将軍義昭との関係、松平信康事件にも注目。苦難の時代を乗り越えた家康の前半生。
目次
信玄・勝頼との二代にわたる試練―プロローグ
永禄年間の家康と信玄(家康と信玄の状況;足利義昭と信長;信玄・家康の今川領侵攻 ほか)
信玄と三方原の戦い(元亀初年の信長と家康;元亀初年の信玄;信玄の遠江侵攻経路 ほか)
武田勝頼との抗争(勝頼の高天神城攻略;長篠の合戦;家康の高天神城奪還 ほか)
家康にとっての武田氏―エピローグ
著者等紹介
本多隆成[ホンダタカシゲ]
1942年、大阪市に生まれる。1973年、大阪大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。1989年、大阪大学文学博士学位取得。現在、静岡大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ようはん
14
長篠の戦いに続く武田氏滅亡のターニングポイントとなる高天神城陥落は勝頼が援軍を送らなかった事で家臣団内部の勝頼への不信感が高まり天正十年の急速な瓦解に繋がったが、その原因は御館の乱での景勝支援で北条氏と完全対立に至った事による遠江への遠征が困難な状況に陥るという事で外交の重要性がよく分かる。2020/07/21
ほうすう
13
桶狭間後の家康独立から天正十年の武田滅亡の辺りまでを主として取り扱っている。こうしてみると家康の前半生は武田との抗争に費やされているのだなと改めてその過酷さを思い知る。 過去の説や史料などそれぞれ論拠をしっかりと示されているのがありがたい。たまに専門書でもこの記述はどこから取ってきたのだろうかと頭を悩まされることもあるのだがその点に関しては非常に好印象。内容で特に興味深かったのは桶狭間の戦いについて、長篠直前の大賀弥四郎事件、信康事件のあたり。 2020/03/04
スプリント
11
武田2代と徳川家康との抗争に要点を絞っていることからとても細かい史実に触れることができました。武田家は北方と南方に侵略の手を広げましたが、海に面した領地が欲しかったんでしょうね。2019/06/17
MUNEKAZ
10
家康研究の第一人者による徳川VS武田の概説本。研究史を重視した叙述が特徴的で、安易に旧説へ拠った著作や論文を滅多切りしているのが恐ろしい。信玄・勝頼と家康の争いよりも、学術的な争いの激しさと真摯さのほうが印象に残るかも。題材のキャッチーさに反して、何ともマニアックな趣の一冊であった。2019/04/03
しもちゃん
6
最新の研究を受けて、家康と武田氏の14年にわたる抗争を整理した本。目新しさはないが、研究史を丁寧に整理している部分には好感を抱いた(旧説支持者へのあたりは強いですが…)。この本を読みながら、優勢な敵に対して正面決戦を避けつつ拠点城郭に籠城して敵と対峙するという家康の戦略(天正壬午、小牧長久手)は、勝頼との抗争を経て身につけたスタイルかもしれないとふと思った。2019/07/15