出版社内容情報
古代から、土木技術は社会発展の礎となってきた。日本各地の古墳や名だたる仏教寺院・宮殿建築を生み出してきた伝統的工法を、豊富な遺構の発掘成果とともに紹介し、中国・朝鮮半島の事例に大陸からの影響をたどる。政治的支配や外交、信仰と土木とのかかわりを手がかりに、人々がどのような社会を目指したのかを、古代の先端技術から照射する。
内容説明
古代から、土木技術は社会発展の礎となってきた。日本各地の古墳や名だたる仏教寺院・宮殿建築を生み出してきた伝統的工法を、豊富な発掘成果とともに紹介。古代の先端技術から、当時の人々が目指した社会を照射する。
目次
土木技術と歴史―プロローグ
列島を二分した技術―古墳時代前期
脆弱だった東西の融合―古墳時代中期
古墳の転換点―古墳時代後期
仏教寺院と土木技術―飛鳥時代
寺院・宮殿建築の変容―奈良時代
土木技術からみた日本古代史―エピローグ
著者等紹介
青木敬[アオキタカシ]
1975年、東京都に生まれる。2003年、國學院大學大学院博士課程後期修了。鎌倉市教育委員会、奈良文化財研究所勤務を経て、國學院大學文学部准教授、博士(歴史学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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おらひらお
8
著者がこれまで執筆した論文を一般向けに分かりやすくまとめたものです。文章も平易で、著者の研究のとっかかりにはちょうど良いと思います。2017/11/09
イコ
5
土木技術の古代史という事で、古墳の作り方や版築について言及されている。土木と書いていたが、寺院などの地業工事について書いていたのが珍しく、なかなか興味深かったが論文を元にしているのでちょいと難しいところもあった。版築と古墳について調べたいならベストの本です。2019/07/21
六点
5
「モノをして歴史を語らしむ」考古学の真髄ともいうべき書物である。古墳築造の技術を読み解くことから古代日本の権力構造を導き出す事で始まり、版築の技法で大陸技術の流入ルートを読み取り、寺社の基壇の構造から古代の仏教受容のあり方を読み解く。精密な学問はここまでの事ができるのかと感動させられる。まぁ、何故か朝鮮の地名は何故か現代韓国語のふりがなが付いているのに、支那の地名は慣用によっていたりするところが、余計な事を考えさせられるのはご愛嬌と言うべきであろう。2018/02/24
うしうし
4
「敷葉・敷粗ダ工法」のことを知りたくて、本書を手に取った。筆者は、5世紀末以降、古墳の墳丘が高大化する土木技術的な背景として、築堤などに採用された当該工法の応用を考える(p245)。本書は、古墳時代から奈良時代頃までの土木技術の系統を類型化して、明解な分類を行うことで説明する。文章も節が簡潔にまとまっているため、読みやすい。古墳の墳丘工法、古代寺院の班築工法について、特に詳しい。2021/02/11
翠埜もぐら
3
素人目で考古学とは「遺物を考察するもの」感が強いのですが、遺物を包むすべてが対象であることがよくわかりました。近年遺跡に残る液状化などの痕跡調査も盛んですね。構築物の形だけでなく制作方法などから、弥生時代以降の東アジアの文化交流を考察でき、今後の遺跡の見方に幅が出て楽しくなりそうです。ところで古墳の制作方法に東西差があるそうで、これは政治体制の問題ですが、東と西って文化的に違いますよね。今も結構大きいと思うのだけれど。地政学的な問題なのか、環境的なものもあるのか。東夷の末裔としてはこの辺が結構気になる。2019/02/13
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