出版社内容情報
近代東京の安全を脅かしたものは何だったのか。明治維新直後の政情不安から昭和の敗戦までの長期間を取り上げて分析。戦時の沿岸防衛と防空体制整備、関東大震災で生じた甚大な火災被害、二・二六事件をはじめとするクーデターへの対応など、その時々に要請された防衛課題から帝都がいかに守られてきたかを検討し、当時の情勢や社会的影響に迫る。
内容説明
近代東京の安全を脅かしたものは何だったのか。明治から昭和の敗戦までを分析し、対外戦争、関東大震災、二・二六事件など時代に要請された防衛課題を探る。帝都がいかに守られてきたかを検討しその社会的影響に迫る。
目次
江戸の防衛施設だった「お台場」―プロローグ
日露戦争までの帝都防衛
日露戦後の帝都防衛
巨大地震の襲来とその影響
テロ・クーデターと戦争の時代へ
日米戦争
帝都空襲
帝都防衛の終焉―エピローグ
著者等紹介
土田宏成[ツチダヒロシゲ]
1970年、千葉県に生まれる。1994年、東京大学文学部卒業。2000年、東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。現在、神田外語大学外国語学部国際コミュニケーション学科教授・同大日本研究所所長、博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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nnpusnsn1945
43
戦前の帝都こと東京の防衛(特に防空体制)、災害対策、テロ対策について論じられている。関東大震災では、軍隊も救援にあたったが、流言騒動で下手人になったケースも見られたという。防空では、防空法(噛み砕くと、爆撃でついた火を消すこと。逃げちゃだめだというルールがあった)や演習について述べられている。どうやら防空法が後々空襲被害者関係の補償に響いたようだ。2024/01/08
穀雨
2
明治時代から昭和戦前にかけての帝都東京が、外国の脅威のみならずテロや暴動といった国内の不安要因、地震や風水害といった自然災害などからどのように守られてきたのかが、簡単に紹介されている。日中戦争期に行われた大規模な防災訓練では数十名の死者が出て、のちに合同法要が営まれたということから、当時の社会の厳しさが感じられた。2017/11/22
onepei
2
都民には強敵ばかり2017/10/01
バルジ
2
扱っている時代が近代全体なので記述にだいぶ濃淡があるが、防災から防空へといつの間にか変化した力点がその当時の日本の歩みと重なって見えた。 関東大震災の教訓を学んだが故に「初期消火」の重要性が悟られ、それが太平洋戦争中の空襲で民間人の死者を増やしたのが皮肉でしかない。「教訓」をどう活かすのかも重要だと知れる。2017/09/28
Jirgambi
1
都市災害であっても自然災害と戦災は当然性質が異なる。だが戦時色が近づくにつれ、東京市民の防災意識を鼓舞する為に二十数年前の関東大震災を引き合いに出す、情報局等の広報。「不意に襲う震災とは違い、空襲は人為的で予想・対策できる、だから消火は容易だ、初期消火に努めよ。」との論法、当世の人間には尤もな論説として受け入れられる余地があっただろう。2019/07/24