出版社内容情報
12世紀後半から13世紀前半、白拍子・乱拍子というリズムが大流行した。庶民のみならず貴族や寺院社会を席巻したこの芸能はいかなるものだったのか。すでに滅びてしまった芸態を復元し、いまに伝わる能楽にどのように包含されているのか考察する。中世芸能が花ひらく直前、人々が身体表現の楽しさを知り、うきうきと舞い始めた時代を描き出す。
内容説明
庶民のみならず貴族や寺院社会を席巻した、白拍子・乱拍子というリズム。滅びてしまった芸能を復元し、いまに伝わる能楽にどのように包含されているのかを考察。人々が身体表現の楽しさを知り、舞い始めた時代を描く。知られざる能楽前史。
目次
乱れる中世―プロローグ
乱舞の時代の幕開け(猿楽の熱狂―平安後期の芸能界;乱舞の時代へ)
白拍子の世界(白拍子という芸能;貴族の白拍子;白拍子舞の担い手と芸態)
乱拍子の世界(乱拍子という芸能;貴族の乱拍子;僧侶の乱拍子;稚児の乱拍子)
“翁”と白拍子・乱拍子(数える翁たち;千歳・三番叟と乱拍子;父尉と白拍子・乱拍子)
能と白拍子・乱拍子(能の身体;乱拍子と能;白拍子舞と能)
乱舞の身体―エピローグ
著者等紹介
沖本幸子[オキモトユキコ]
1974年、東京都に生まれる。1996年、東京大学文学部言語文化学科卒業。2003年、東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。現在、青山学院大学総合文化政策学部准教授、博士(学術)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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りー
24
日本の古典舞踊、特に今は失われた白拍子舞に焦点をあてて書かれた本。白「拍子」、と言いますが、白拍子は「舞う」のではなく「数え」るのだそうです。鼓のリズムに合わせて詞を一つ一つあてていく。板敷きの舞台に足拍子が響く。そして、詞を変幻させる即興性。なんというか、イメージとしてはラップに近いものがあります。後白河も清盛もラップ好き?と考えるとちょっと楽しい。本書ではあえて触れなかったと後書きにある、乱拍子の呪術性について、是非とも別の本で読みたいです。動画検索しながら読みましたが、能舞台へ行きたくなりました。2021/01/27
紫草
7
乱拍子の歌い方を記した伝書『朗詠注秘抄』には「うきうきとうたふ」とあるそうです。「うきうきと」。なんかかわいい。日本の歌とか舞って、リズムはなくてすり足でしずしずと、というイメージしかなかったけど、鼓のリズムで足を踏み鳴らして踊ったんですね。想像すると楽しい。そして、少しづつ形を変えたとはいえ、それが今に至るまで能楽に受け継がれてる。伝統芸ってすごいものですね。 2020/06/10
もち
6
白拍子、乱拍子とは何か、そして能に残る白拍子とは__。乱拍子というと、能「道成寺」が思い起こされるが、元の乱拍子とはかなり異なるらしい。これまでの知識がどんどんひっくり返され、符号していくのが快感だった。2018/08/31
アメヲトコ
6
平安末期から鎌倉期にかけてとくに流行をみた、白拍子や乱拍子といった乱舞についての論考。その荒々しい活力と即興性のDNAがその後成立する能楽にも受け継がれているという指摘は興味深いのですが、なにぶんこちらに能楽についての基礎知識が乏しいもので具体的にイメージしづらく、後半部分については面白さの半分も理解できていない気がします。2017/04/23
Mihoko
4
お能を沢山鑑賞していない、舞の歴史的知識もないのでなかなか難しかった。 中世が内乱など乱れた時代であったと同時に舞の世界も誰もが気軽に舞える即興的な舞が大流行。 先ずは専門用語になれないとササット読みこなせない。けれど、とても興味深い内容ということはわかる。何度も読み返したい書籍 2023/12/10