出版社内容情報
彼らすべてが「天下統一」をめざした訳ではない。乱世をグローバルに生きた彼らの領国経営から、戦国時代を国際的に再評価する。
内容説明
大友・大内・相良・松浦・島津ら西日本の戦国大名は、「天下統一」とは異なるもう一つの志向性を有していた。「アジア」との交易を意識し、乱世をグローバルに生きた彼らの領国経営から、戦国時代を国際的に再評価する。
目次
「群雄割拠から天下統一へ」は本当か―プロローグ
中国に向かう戦国大名たち
「硫黄の世紀」
「唐人」と中世社会
「南蛮」と戦国大名
アジア史のなかの戦国大名―エピローグ
著者等紹介
鹿毛敏夫［カゲトシオ］
１９６３年、大分県に生まれる。１９８６年、広島大学文学部史学科卒業。２００５年九州大学大学院人文科学府博士後期課程修了。現在、名古屋学院大学国際文化学部教授、博士（文学）（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
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パトラッシュ
118
戦国時代で東国大名が陸軍ならば、西国の諸大名は海軍か。領土を広げ天下統一を目指した東国勢に対し、西国側は中国や南蛮との交易商社の性格を有していた。貿易立国で国を富ませ実力を蓄えるとは、現代日本が目指すところを４百年以上前に実現していたに等しい。輸出品たる硫黄採掘に苦心したほか、渡来商人の居住を許したり外国政府と国交樹立を求めるなど、戦乱期だからこそ富国強兵実現のため積極外交を展開していたのだ。海を向きすぎた結果として天下は東国勢により統一され鎖国に至ったが、もし西国大名が天下を取っていたらと考えてしまう。2024/02/02
夜長月🌙新潮部
42
戦国大名のうちアジアの各国と交易していたものは多い。もとは足利義政の時代に交易の権利を各地の有力者に売却(勘合礼銭)したことによる。山口の大内氏、豊後の大友氏、薩摩の島津氏などが活躍した。大内氏は交易にあたり偽の「日本国王乃印」を使っていた。本物は足利義満が中国より贈られた金印であるが紛失後大内氏は木製印を偽造した。日本からの主な輸出品の一つが硫黄であり中国では火薬製造のためその需要が急速に高まっていた。こんな時代からグローバル展開は広まっていた。2017/03/12
鯖
25
戦国大名とはいうものの、ほとんど大友氏を扱った本。いや面白いからいいんですけども。でも。義満が日明貿易で用いた日本国王之印の金印を偽造した木印が遺ってるのなんかニコニコしちゃった。しかも明も偽造印て見抜けず、ふっつうに貿易してるし。九州の硫黄が大陸に輸出されてヒャッハーなことにページが大きく割かれている。国内に大規模精錬所があったのには驚いた。カンボジア国王に美女を贈答し、返礼として鏡や象さんが来てるとかさ…。ただホント大友氏ばっかりなのでタイトルは詐欺だと思う。～大友氏を中心に～くらいは添えよう。2023/12/22
MUNEKAZ
12
大友氏や島津氏を中心に、西国大名たちの海外交易を描いた一冊。この時代の日本の輸出品というと、まず銀が思い浮かぶのだが、本書は「硫黄」に着目したのが面白い点。採掘の容易さ、軍需物資としてのニーズなど、確かに火山の多い九州の地の大名に相応しい。著者の述べるように「キリシタン大名」や「南蛮貿易」の前提として、中世を通じて多くの渡来人を受け入れ、海外に雄飛しようとした大友氏ら西国大名たちの存在を忘れてはいけないのであろう。2019/11/11
アメヲトコ
8
西日本の戦国大名たちのアジアとの関わりについて考察したもの。当時の主要輸出品であった硫黄について、その生産から流通までの過程を詳細に取り上げた章がとくに面白かったです。一方で、「あとがき」にあるような著者の思い自体は理解できるのですが、それゆえに国際交流のありようをややロマンティックに描きすぎているのではないかという気もしました。2016/07/06
