出版社内容情報
南朝忠臣の好敵手、足利直義の政敵として悪人イメージが根強いが本当なのか。改革派政治家として再評価し、栄光と没落の生涯を描く。
内容説明
足利尊氏を支えた執事高師直。戦前は南朝忠臣の好敵手、戦後は尊氏の弟直義の政敵として評され、悪人イメージが根強い。はたしてそれは本当なのか。卓越した改革派政治家として再評価し、栄光と没落の生涯を描く。
目次
高師直は悪玉か―プロローグ
師直の先祖たち(清和源氏―足利氏への巨従;足利家執事)
室町幕府発足以前の高師直(鎌倉幕府~建武政権下の師直;建武の戦乱)
室町幕府初代執事高師直(足利家の執事から幕府の執事へ;北畠顕家との死闘;足利直義との対立;師直以外の高一族)
栄光と没落(四条畷の戦い;観応の擾乱;師直死後の高一族;高師直の信仰と教養)
高師直の歴史的意義―エピローグ
著者等紹介
亀田俊和[カメダトシタカ]
1973年、秋田県に生まれる。1997年、京都大学文学部史学科国史学専攻卒業。2003年、京都大学大学院文学研究科博士後期課程歴史文化学専攻(日本史学)研究指導認定退学。2006年、京都大学博士(文学)。現在、京都大学文学部非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ようはん
20
高師直はそこまで南北朝時代を知らなかったせいもあり、正直な話これまで漠然ながら悪役としてのイメージしか無かった。しかし経歴を見ていくと武将としての軍事能力の資質、実務官僚としての能力と実績は高く尊氏に信頼されるというように南北朝時代屈指の一流の人物であった。政争に敗れて悲劇的最期を遂げたばかりでなく後世まで悪役扱いされるのは気の毒になる。2021/11/21
サケ太
19
高師直が好きなんです。具体的にどのような事を行ったを知ることで、更に好きになった。戦に、政治に、足利家になくてはならない存在だった師直。そして、他の高家の人々。彼の役目が後に管領として受け継がれていくのも興味深い。2021/02/14
六点
17
かつて『太平記』で柄本明氏が演じた、とらえどころのない汚れ役と言った印象であったが、本書で描かれる高師直は大御家人足利氏の柱石の一族に生まれ、戦上手で機知や諧謔味を持ち、和歌もこなす文化人であるけどスケベという魅力あふれる人物として描かれている。混乱を極めた建武の新政の後始末を施行状発行により強制力を担保させるという新システムまで作り出し、室町幕府の管領という存在まで創り出したのである。忠実な足利氏執事であったことが彼の限界でもあった。騎馬像の像主については、作者の高師直愛の迸りを感じる事ができる。2019/08/17
bapaksejahtera
14
南朝正統論や忠臣蔵の影響から長く悪役視された高師直像は、太平記等偏頗した史観に基づく歪曲であると一次資料を用いつつ論証する。「高」は藤原や源と同様「氏」で、嫡流はそれのみを称し、ついに苗字を立てなかった。インテリ師直は戦巧者。政治・公文書制度の確立、これに基づく武士層の支持の取付けは果たしたが、伝統的武士層と異なり所領に基づく苗字を定めなかった。ここに高家は鎌倉幕府に於ける北条得宗と異なった一因がある。長く尊氏とされた騎馬武者像には、主人公の頭上に足利義詮の花押が据えられている。紋も高氏家紋である。良書。2021/09/14
中島直人
14
室町時代で一番好きな武将。著者の師直に対する愛情?がひしひしと伝わってくるようで、読んでて楽しい、面白い。2017/05/01